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経世論研究所 所長の三橋貴明の
日本経済のボトルネックを取り去る国家コンサルティング VOL.797
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☆☆☆☆☆☆ 日本経済は輸出依存である ☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆ 円高で日本経済は破綻する ☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆ 日本政府は財政破綻する ☆☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆ 日本の内需は絶望的である ☆☆☆☆☆☆
日本の新聞・テレビなどのマスメディアでは、上記のフレーズがあたかも「常
識」のように使われている。しかし、実際に数値データを調べてみると、上記
フレーズは全て根拠が全くない「嘘」であることが判明する。嘘のフレーズが、
まるで湿気を帯びた空気のようにまとわりつき、日本経済成長の「ボトルネッ
ク」と化しているのが現実なのだ。本メルマガでは、正しい数値データに基づ
き各種の「嘘の常識」を暴き、ボトルネックを取り去ることで、日本経済が着
実な成長路線を進めるようコンサルティングを提供する。 三橋貴明
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-国債という福音-
日本では、未だに国債発行残高について、「国の借金」「将来世代へのツケ」などと荒唐無稽な批判をする者が絶えない。
しかも、大学教授やエコノミストまでもがこの種のレトリックを用いるわけだから、あきれ果てるしかない。
銀行預金がない世界を想像してみよう(昔はそうだった)。
日本政府が、国債1兆円を発行し、日本銀行に渡した。日本銀行は、代わりに1兆円の日本銀行券を政府に渡す。
政府は、1兆円の日本銀行券で国民から財やサービスを買う。あるいは、所得移転として渡す。
すると、国民の手元に1兆円の日本銀行券が資産として残る。
その状況で「国の借金が1兆円増えた!」「1兆円の将来世代へのツケ!」といった批判をする者がいるだろうか。
何しろ、政府の新規発行国債分、自分たちの手元で日本銀行券が増えているのだ。
現実の管理通貨制度では、間に「日銀当座預金」「銀行預金」を挟んでいるが、やっていることは同じだ。
(1) 日本銀行が市中銀行から国債を1兆円買い入れ、「日銀当座預金」を市中銀行に発行する
(2) 日本政府が1兆円の国債を発行し、市中銀行から「日銀当座預金」1兆円を調達する
(3) 日本政府が財やサービスの購入、所得移転のため、市中銀行に国民の「銀行預金」を1兆円増やさせる
(4) 日本政府の「日銀当座預金」が、「銀行預金」を増やした市中銀行に1兆円移る(清算)
と、間に市中銀行を挟んではいるものの、やっていることは「日本銀行券を調達し、国民に支払う」と同じだ。
国債発行とは、政府から国民への貨幣供給なのである。
となると、当然ながら「国債発行残高を減らす」などとやった場合、国民が保有する貨幣残高が減る。
銀行預金がない世界で、1兆円の国債発行残高を5千億円に減額しようとした場合は、どうなるだろうか。
政府は国民に支出せず、国民から5千億円の日本銀行券を徴税で取り上げ、日本銀行に渡し、国債を取り戻す。
確かに、国債発行残高は半分になったが、国民が保有していた5千億円の日銀当座預金が消滅する。
国債発行残高を減額するとは、「そいう言う話」なのだが、緊縮財政主義者たちは理解しているのだろうか。
週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
三橋貴明(経世論研究所所長)