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世界とITの裏話

深田萌絵(ITビジネスアナリスト)

深田萌絵

日中米のニュースを中心に、IT起業家と元アナリストの視点から多角的に解説。

ITはもはや民間が軍事を超え、IT技術を制する者が世界を制すという国際マフィアと国際政治の世界。

アナリスト時代は上司から、「ニュースを信じるな!積み上げた数字と取材を基に隠されたストーリーを読み解け!独立系は企業にゴマ擦らず辛辣な切り口で書け!」と叩きこまれ、
アナリスト時代には、上場企業を痛烈に批判して売り推奨してインテリヤクザに軟禁され、三菱UFJ銀行批判を行なったために「事実を書くな」と圧力を掛けられ、私の『Yahoo!ファイナンス』コラムも閉鎖されました。

2013年に、ファーウェイにスパイされていると書き始めた時は頭が狂っていると批判を浴びましたが、あの当時の訴えが徐々に現実化し、トランプ政権がファーウェイや中国IT企業を批判するようになり、私の主張が見直されるようになりました。

IT起業から8年。

開発の現場、危険な開発と良心に苛まれるエンジニア達の生の声を取材してきました。
IT技術を巡るスパイ事件に巻き込まれて、IT技術がどのように軍事に応用されていくのかを知り、日本政府や警察に通報しても日本はITリテラシーが低いのか、全く意味が理解してもらえないという歯がゆい思いを散々してきました。

これは、もっと多くの人に知ってもらいたいと願えど、政治雑誌『WiLL』でも最も過激な書き手と呼ばれるようになりましたが、紙面の関係やテーマの制限のあり、書ききれていないことも多々あります。

IT、日米中のニュース解説に留まらず、紙面ではなかなか取り上げられにくい幅広いお話ができればいいなと思っています。

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中国防火長城は、デジタル冷戦版『ベルリンの壁』だ!

中国防火長城、英語でグレート・ファイアウォールという言葉を聞いたことがあるだろうか。中国国内で自由なインターネット接続ができずに情報統制をされるようになったのは、全てこのグレート・ファイアウォールが検閲を行なっているからである。

これは中国のIT軍事兵器でもあるのだ。

歴史を振り返ると、クリントンは『情報』のスーパーハイウェイ構想を打ち出し、それに警戒したのは、紛れもなく中国共産党だ。インターネットで世界が繋がり、情報が瞬時に世界中に行き渡るようになれば、『国家』という概念の緩い中国人はビジネスチャンスを求めて海外へと向かい、人とカネとモノが流出することになる。それどころか、資本主義国で経済力を付けた中国人が中国共産党に復讐するリスクも否めない。
冷戦時代の東ドイツを振り返ると、自由な経済活動の許された西ドイツは経済的に反映し、人とモノが東から西へ流出する事態が続いた東ドイツの危機を救ったのは『ベルリンの壁』だった。
 
「情報の自由な往来を制御するにはインターネット上にも万里の長城を築かなければならない」

 軍事委員会の会議で、グレート・ファイアウォール(GFW)計画が打ち出される頃、鄧小平の命令で創業された四社に通信インフラに関する技術向上も求められた。その四社は、『龍唐興為巨大中華』から二文字ずつ取り、大唐、巨龍、中興(ZTE)そして華為(ファーウェイ)と名付けられた企業だ。中国共産党は、国内企業にも競争を促すために四社を創業させ、ZTEとファーウェイが生き残りGFW計画にも参画することになる。

筆者が21歳の頃、北京で開催された『第一回世界インターネット会議』に参加するために初めて中国に渡航した一年ほど前に当たる1998年にGFWは既に導入されていた。中国が対外的に、「中国でもインターネット技術が発展しています」と発表する頃には、既に多くの情報が遮断されていたということだ。

このGFWこそが、米中デジタル冷戦時代のベルリンの壁であり、中国共産党のウィークポイントである。だからこそ、GFWを攻撃することは中国では犯罪であり、外国人でも国際指名手配をすると豪語している。
「グローバル時代において、中国人は世界中に飛び回っている。国内の情報統制に意味はあるのか?」と思われるだろうが、その問題は現在進行形でほぼ解消されつつある。世界中のネット言論は既にGFWによって検閲されているためだ。完全に解消できないのは、米国にトランプ大統領という異才が登場した為だ。

GFWは世界を盗聴する

GFWは表向き諸外国のサイトを経由した資金洗浄、国際詐欺、児童ポルノなどの犯罪を取り締まるためインターネット検閲を行なっているとしているが、実際のところは諸外国の通信までも監視するためにある。

GFWは、ゲートウェイと呼ばれるインターネットに通じる通信サーバーを経由する通信を監視し、中共政府の要求に符合しないと判断される伝送内容を妨害、遮断、遮断することに始まった。
インターネットは、通信回線を網の目状に張り巡らせられたトポロジー(接続形態)の通信で形成されており、電話のようにツリー構造ではないところから「WWW」と呼ばれている。
インターネットは回線やサーバー等のハードウェアだけでなくて、ソフトウェアも併せて構築されており、GFWは、中国政府がネットのコンテンツを監視し、検閲するのに用いるハードウェアとソフトウェアの集合体を指す。
中国政府がGFWの機能を向上するために真似たのは米国家安全保障局(NSA)が運用するPRISM(通信監視プログラム)だ。
オバマ時代に始まったPRISMは、監視だけでなく言論統制する機能も持っていた。オバマは素晴らしい大統領だという記事が常に出回っていたのを覚えているだろうか。多くの人がオバマ大統領を称賛しているが、彼は米国史上最低の大統領だったのは間違いない。自分への票を集めるために貧困層といえる移民に国籍を与え続け、フードクーポンを乱発した。オバマケアで国民の負担が重たくなった一方でオバマケアが使える医療機関は混雑で予約は何カ月も先まで入れられない。
製造業は衰退し、中流層が薄くなり米国は二極化が進んだ。英調査報道ジャーナリスト協会によると、世界中に5万発以上の爆弾を撃ち込んで、2000人以上の死亡者が出たにもかかわらず、SNS上での言論統制の賜物かオバマ政権はクリーンな大統領というイメージを維持したまま幕を閉じた。

多くの人が誤解しているが、GFWは中国のみにフォーカスされたシステムではない。
GFWは中国の外の世界も攻撃するIT軍事兵器だ。
海外でやり取りされる通信を検閲するには、世界中(・・・)に分散されたGFWのサーバーやルーターなどの設備や関連アプリケーションによって構成された大規模な通信監視システムが必要だ。世界中からデータを全て中国に転送するとなると、とてもじゃないけれど通信インフラもデータ処理も追い付かない。ネットインフラを世界中に設置しないといけないのは必然であり、その役目を果たしているのがファーウェイだ。
グーグル検索で「防火長城」と中国簡体字で打ち込めば、関連キーワードで最初に出てくるのは「華為(ファーウェイ)」である。
ファーウェイがGFWの中心となり、世界を監視し、時にはサイバー攻撃を行い、データを盗んでいる。ITが軍事に直結する時代だからこそ、アメリカは共和党も民主党も、躍起になってファーウェイを叩くのである。

今の中国にとっての懸念事項は、現代のベルリンの壁「グレート・ファイアウォール」が新たなるIT技術によって崩されることである。


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