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永田町ディープスロート

永田町ディープスロート(政治コンサルタント、評論家)

永田町ディープスロート

こんにちは、永田町ディープスロートです。

訳あって詳しい素性を明かすことは出来ないのですが、知る人ぞ知る日本政治の専門家、永田町ウォッチャーです。

日頃から、選挙や政治の流れについて大手メディアに情報提供をしたり、海外の政治関係者に日本政治に関する分析を披露しています。

メディアに登場する「政治評論家」の多くは、特定の政党や政治家への配慮からか客観性を欠くこともあり、物足りません。ここでは、本当のプロの分析をお見せします。

子供の頃から政治が大好きで、物心ついた頃には永田町の動きをフォローすることが自然と習慣になっていました。そうした趣味が高じて、ジャーナリズムと公共政策に関わる仕事を専門にするようになりました。また、アメリカ・イギリス・韓国など海外生活を経て、それぞれの国の政治を見ることもライフワークになりました。

現在は、30年あまりにわたるプロとしての経験と海外生活で培った国際感覚を生かして、主に日本の政局を分析しています。

こちらのフーミーのメルマガでは、実際に見聞きしたことをまじえ、日本政治、特に永田町のあれこれを解説していきます。

永田町の「妖怪」たちの動きは複雑怪奇で、一見しただけではよくわかりません。また、選挙の際、どの候補者に投票したらいいのかよくわからない、という声もよく聞きます。そうした疑問についても、少しでも解消する手助けとなればと思っています。

政治は壮大な人間ドラマです。人間が2人以上存在すれば、必ず双方の利害を調整する必要が生じます。その過程がまさに政治ですから、政治は人間そのもの、社会そのものといえます。非常にエキサイティングな世界です。

一方、政治はある意味「生臭い」テーマで、単なるゴシップを面白がることで終わってしまうこともあります。先に述べたメディアに登場する「政治評論家」やジャーナリストにもそんな傾向を感じることがあります。

しかし、政治の面白さは、もっと深いです。私は、政局の動きをタイムリーにとらえながらも、単にゴシップとして消費するのではなく、政治と政治家はどうあるべきか、という本質的な視点を念頭において、政治の真の面白さを伝えていきたいと思っています。

グッチーポストのウェブサイト(プロフィール欄参照)では過去の発信を見ることができます。初期の記事は無料公開していますので、ぜひご覧ください。

記事は単独販売もしておりますので(330円(税込))、まずはブログやサンプル、単独記事からでもご覧いただければと思います。よろしくお願いします。

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永田町ディープスロート
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https://guccipost.co.jp/blog/deepnagatacho/
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永田町ディープスロートです。本号が記念すべきメルマガ創刊号となります。どうぞよろしくお願いします。

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自民党の候補者調整 ~ 派閥の代理戦争 ~ (1) ここに注目、12の選挙区
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■ 自民党メモ入手 菅首相と二階幹事長が目論む解散総選挙 最有力は5月11日告示 23日投開票?!(3/30付週刊朝日)
https://dot.asahi.com/wa/2021033000074.html?page=1

前回のブログでは、にわかに注目を集め出した4月解散説について考察してみました。

「4/12解散? ~4月解散説を追う~」(3/30)
https://guccipost.co.jp/blog/deepnagatacho/?p=215

ここからわずか数日で、今度は5月解散説が報じられました。

こうなると、「当たるも八卦当たらぬも八卦」「数撃ちゃ当たる」という感じで、解散の可能性が報じられるたびにいちいち取り合うのは虚しくなります。考えてみると、メディアは常に理由を見つけては解散時期を云々し、年中解散予測記事を出しているような気もします(苦笑)。

週刊朝日が自民党議員から入手したというメモによると、下記のような日程が考えられているそうです。

・4/28もしくは4/30 衆議院解散(※4月中にデジタル庁法成立が前提)
・5/11 衆院選告示
・5/23 投開票

確かに、菅内閣の目玉政策の一つであるデジタル庁関連法の成立後というタイミングには、合理性があると思います。しかし、この「メモ」には二つの大事な日程の考慮が欠けています。

一つは、4/25の衆参補選です。補選の終了後、わずか3日やそこらで解散するということがあるのだろうか・・と思うと、大変困惑します。

もう一つは、6/25告示・7/4投開票の東京都議選です。公明党は、都議選を国政選挙と並ぶ重要選挙と位置付けています。それは、前身である「公明政治同盟」が都議会を舞台に躍進し、公明党の結党につながった経緯があるからです(以下の記事参照)。

「菅総理は解散できるのか?」(3/13)
https://guccipost.co.jp/blog/deepnagatacho/?p=19

都議選や国政選挙など、公明党が重点を置く選挙に際しては、全国から創価学会員が住民票を移動すると言われています。引越し後に選挙権を得るには3ヶ月かかるので、都議選に向けてすでに戦略的に動き始めているはずです。したがって、公明党にとっては、4月もしくは5月の衆院解散は、簡単には納得することができない日程なのです。

しかし、そこは「前例を踏襲しない」ことを旨とする菅義偉総理と、「なんでもあり」の二階俊博幹事長です。あらゆる選択肢を考え、隙あらば仕掛けようとしている可能性も否定できません。

政局は、コロナ・ワクチン・スキャンダルに左右される流動的な状況なので、今後も解散時期の考察は続けていきます。

●選挙前の候補者調整

一方、政党には、いよいよ解散となる前に必ずやらなくてはならない大仕事があります。

一般的には、公募などで現職のいない選挙区に候補者を立てていくことを想像されるのではないかと思いますが、それ以上に重要なのが、政党内での「候補者調整」です。

候補者調整には、日本政治を理解する上で極めて重要な要素が詰まっているため、お伝えすべき情報がたくさんあります。そのため、複数回に分けて詳しく解説します。

まず、野党については、そもそも現職がいない「空白区」が多いことから、とにかく候補者を立てることが急務になります。

一方、自民党は、連立を組む公明党とあわせて絶対安定多数を確保しているので、ほとんどの選挙区に現職議員がいます。

加えて、それだけの議席を保有しているにもかかわらず、幹事長である二階氏が複数の野党議員を志帥会に入会させています。したがって、次期衆院選でどちらを公認候補とするのか、複雑でデリケートな調整が必要になるわけです。

そこで、第1回として今回は、次期衆院選において、どの選挙区で候補者調整が必要となるかを概観します。12の選挙区で火種を抱えています。

●現職同志が競う10選挙区(派閥の代理戦争)

現在、自民党は、以下の10の選挙区で候補が競合しています。
(選挙区 前回選挙での公認候補者 競合する候補者)

北海道7区  伊東 良孝(志帥会)     鈴木 貴子(平成研)
群馬1区   尾身 朝子(清和会)     中曽根 康隆(志帥会)
新潟1区   石崎 徹(離党)       塚田 一郎(志公会)
新潟2区   細田 健一(清和会)     鷲尾 英一郎(志帥会)
静岡5区   吉川 赴(宏池会)      細野 豪志(志帥会)※1
神奈川4区  山本 朋広(ガネーシャの会) 浅尾 慶一郎(志帥会)
広島3区   河井 克行(離党)※2     石橋 林太郎(宏池会)※3、斎藤 鉄夫(公明党)
山口3区   河村 建夫(志帥会)     林 芳正(宏池会)
高知2区   山本 有二(水月会)     尾崎 正直(志帥会)※3
徳島1区   後藤田 正純(水月会)    福山 守(水月会)

(※1):自民党には入党しておらず、無所属
(※2):3/15より後に議員辞職したため、補選は実施されず。4/5に政界引退を示唆したが、本選に立候補は可能
(※3):正式入会はしていないものの、擁立過程に派閥が深く関わっている

この表を見て、どのようなことを思われるでしょうか。そう、自民党の候補者調整は、派閥の代理戦争の様相を呈しているのです。

具体的な派閥抗争の構図は、次の6つに整理することができます。

(1)志帥会(二階派)vs. 清和会(細田派) 
(2)志帥会 vs. 宏池会(岸田派) 
(3)志帥会 vs. 平成研究会(竹下派) 
(4)志帥会 vs. ガネーシャの会(菅グループ)
(5)志帥会 vs. 水月会(石破派) 
(6)水月会 vs. 水月会

衆議院が中選挙区だった頃は、同じ選挙区に異なる派閥が推す複数の候補が立つことが珍しくありませんでした。敵は野党のみならず、同じ自民党系の候補でもあったのです。このため、公認争いは熾烈を極めました。その理由は、派閥の領袖が総理候補となるためです。1人でも多くの子分を当選させ、派閥の規模を大きくすることで、領袖が総理の椅子に近づく可能性が高まるからでした。

しかし、1996年衆院選で小選挙区比例代表並立制が導入されてからは、公認に関する権限を党が握るようになりました。それ以降、他にもいろいろな要因はありますが、派閥の領袖は必ずしも総裁候補ではなくなってきています。

実際、昨年行われた総裁選で当選した菅総理は、自前の派閥を持っていません。

宏池会と水月会からはそれぞれ、会長である岸田文雄氏と石破茂氏が立候補しましたが、最大派閥である清和会と、それに次ぐ規模を持つ志公会、平成研志帥会、近未来研は自派から候補を出さず、菅総理を支援したことは記憶に新しいかと思います。

とはいえ、菅総理には、「ガネーシャの会」「韋駄天の会」「向日葵の会」「無派閥有志の会」などの有志による緩やかな「菅グループ」があります。

ガネーシャの会といえば、最近、官邸で会合を開いたことが話題となりました。

■ 菅氏に近い13人「やりたい」→官邸で会合、昼食も(4/1付朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASP4173V6P41UTFK01F.html 

このような政治色の強い会合を官邸で行うの前代未聞です。「官邸に行ってみたい」とおねだりした議員にも、「何が問題なのか」という認識で主催した坂井学官房副長官にもびっくりしました。大変失礼な言い方をすると、民主党政権時代の民主党議員のような感覚です。

というのは、民主党系の政党は、「〇〇グループ」というサークルのような集まりがありました。複数のグループに所属することが許されていて、掛け持ちしている人もいたからです。「菅グループ」は、7名程度の議員が他の派閥を掛け持ちしているという話です。

話が少し脱線しましたが、元に戻すと、自民党の議員は一つの派閥にしか所属できません。

毎週木曜日に、派閥の事務所などに集まり、昼食を取りながら、政策や国会情勢についての議論を交わしたり、選挙などについて今後の方針を確認したりします。会場となる事務所や供される食事のグレードは、派閥の所帯の大きさや、親分の集金能力などによってまちまちです。

ただ、そんな自民党にも近年は例外があります。「有隣会」です。

2012年の総裁選の際、当時の谷垣禎一総裁は、出身派閥である宏池会の古賀誠会長の支持を得られず、再選に挑むことを断念しました。その過程で谷垣氏に近い議員が派閥を退会し、有隣会へと発展したのです。

有隣会は、他の派閥に所属する議員の重複参加が認められ、毎週水曜日に勉強会を開いています。派閥ではなく、若手とベテラン議員が交流し、情報交換をするプラットフォームという位置づけのようです。

このように、現在の派閥は、会長を総理にすることが至上命題ではなくなり、形態も変化してきています。しかし、政務三役などのポストの配分や、公認などにおいては、依然として影響力を持ち、時に代理戦争へと発展します。

●現職がスキャンダルで離党した2選挙区

懸案となる選挙区は、前項で挙げた10の選挙区だけではありません。以下の2つの選挙区では、現職がスキャンダルで離党し、後任の支部長がまだ決まっていません。支部長とは、次期選挙での公認候補予定者です。

東京15区	秋元 司(離党・志帥会)
千葉13区	白須賀 貴樹(離党・元清和会)

この2人は、奇しくもともに「IR汚職事件」に関与した議員です。秋元司氏は、IRを所管する内閣府の副大臣を務めていたため、職務権限があるとして収賄罪容疑で逮捕起訴され、さらに保釈後に証人など買収の容疑で再逮捕され、現在公判中です。逮捕を受けて離党はしましたが、「特別会員」として引き続き志帥会に在籍しています。

白須賀貴樹氏は、秋元氏と一緒にマカオのカジノなどを視察し、中国のIR企業・500ドットコム社から100万円の現金を受領したと認めています。しかし、家宅捜査は受けたものの、IRに関する職務権限が認められず、逮捕も起訴もされませんでした。 

ところが、白須賀氏は、今年2月、緊急事態宣言下に西麻布の高級ラウンジを訪れたことが発覚。離党を余儀なくされました。そもそも同氏は、IRの一件のみならず、たびたび不祥事を起こしており、このため、以前より千葉県連から支部長の差し替え要求が出されていました。そのせいなのかどうか、白須賀氏は、次期衆院選には立候補しないことを表明しています。

ちなみに、秋元氏と白須賀氏のマカオ視察には、もう1人、勝沼栄明前衆議院議員も同行していました。勝沼氏は、4月に行われる石巻市長選に立候補するため、宮城5区の支部長を辞任しています。その後任として、先ごろ支部長に内定したのが、元グラビアアイドルの森下千里氏です。

東京15区と千葉13区については、現状、派閥が対立する構図にはなっていません。しかし、秋元氏が無所属で立候補するか、自民党が公認候補を立てるかどうかで様相が変わって来ます。

状況がもっと明らかになったところでまた取り上げます。

これら12の選挙区における候補者調整のプロセスを通して、派閥の論理や勢力争いの様子を解き明かしていきます。

まず、次回は、(1)の志帥会(二階派)vs. 宏池会(細田派)を取り上げます。どうぞお楽しみに!

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