… … …(記事全文2,039文字)-政府支出と経済成長-
経済成長とは、GDPが増えることである。そして、支出面のGDPは、
◆支出面GDP=民間最終消費支出+政府最終消費支出+民間住宅+民間企業設備+公的固定資本形成+在庫変動+純輸出
という定義になる。
定義上、GDPは「政府」が消費や投資(※公的固定資本形成)を増やせば成長する。
注目点は、政府の支出には消費のみならず、投資も含まれているという点だ。
消費とは単なる需要増であるが、投資の場合は需要増であると同時に生産性向上の効果もある。
つまり、国民経済の生産性を上昇させる。供給能力を高める。
政府の支出(※民間の支出も同じだが)は需要増と生産性向上と、二つのルートでGDPを成長させるのである。
となれば、
「政府支出とGDP成長率には相関関係があるのでは?」
という仮説が成り立つ。
というわけで、実際のデータを見てみよう。
【主要国2023年の政府支出(対2001年比)と平均経済成長率】
http://mtdata.jp/20240816-1.jpg
図の通り、各国の政府支出と平均経済成長率との間には、明確に相関関係がある。
政府支出が増えた国は、経済成長率が高い。
政府支出が増えなかった国は、経済成長率が低い。
図に中国が入っていないのは、数値が大きすぎ、グラフが分かりにくくなるためだ。
中国は2001年から2023年にかけて、政府支出を「26倍」にしている。日本が1.4倍、アメリカが1.9倍、韓国が3倍程度であるわけだから、中国の「26倍」がどれほどすさまじい数値か分かるだろう。
そして、2001年以降の中国の経済成長率の平均は8.3%。「平均」が8.3%なのである。十年経てば、経済の規模が二倍以上に拡大するわけだ。
週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
三橋貴明(経世論研究所所長)