… … …(記事全文9,479文字)● バイデン「現」大統領のとんでもない置きみやげ
アメリカ大統領選は予想どおりトランプ圧勝で終わりました。たんに大統領選でトランプが選挙人数とともに一般投票でも多数を占めたばかりか、連邦議会上下院揃って共和党が多数派となる完全勝利となったのです。
そんな中、妙に元気を取り戻したのが、選挙戦のまっ最中に2期目を狙う現職候補としては異例のやり口で大統領候補の座から引きずり降ろされたジョー・バイデンでした。
もう自分でも生きているのか死んでしまったのか分からないほど意識が混濁していた大統領候補だった頃とは打って変わって、自分の後任となるであろうドナルド・トランプ、またはカマラ・ハリスにとってできるかぎり大統領の座が居心地の悪いものになるようにいろいろ画策しているのです。
そうです。ドナルド・トランプが正式に大統領に就任するのは来年1月20日ですから、それまでに自分が死んでしまえば、1日たりとも大統領が欠員ではいけないアメリカ連邦政府としては、現副大統領のカマラ・ハリスを大統領に自動昇格させることになります。
そして、自分が不明朗なかたちで大統領候補の地位を辞退させられた経緯についておそらくカマラ・ハリスに深い恨みを抱いているバイデンは、同時にハリスならたとえ数週間であろうと大統領の座についたという「実績」を確保するために、自分の寝首を掻くことぐらい平然とやってのけるだろうと思っているようです。
このへんはもう「悪党、悪党を知る」と言いますか、カマラ・ハリスがどんな手段を使ってでも少しでも高い地位に昇りたいという上昇志向の化けもののような女性だと見抜いているのでしょう。
さらに、今後はもう絶対に自分が大統領の地位に就くことはないとすれば、残り少ない大統領としての任期をどう使うかについては、かなり熟考した上で結論を出していたフシがうかがえます。
その結論が、たとえ自分の政策によって世界の大半が熱核戦争で滅びることになろうと、次にアメリカ大統領の地位につく人間にとって、大統領の座が針の筵のように居心地の悪いものにすることです。
そして、このとんでもなく地球全体に迷惑な目標を達成しようと決意してからのバイデンは、ずるずるヨボヨボと歩いていた足取りさえ軽くなり、ときには速足で快活に歩くようになったのですから、ほんとうに人間は気の持ちようひとつで変わるものだと感心します。
この目標を具体化する第一歩が、大統領選を始めあらゆる公職の選挙を停止してウクライナで独裁体制を敷いているゼレンスキーに、ロシア内陸部を攻撃するための長距離ミサイルの実戦使用を許可することでした。
ウクライナ軍には気象観測衛星による位置測定システムと連動して長距離ミサイルを間違いなく標的近辺に着弾させる技術はありません。ですから、使用許可を出したと言っても、それはたんに許可しただけではなくアメリカ軍あるいはNATO軍が協力してロシア内陸部に空爆の範囲を広げることを意味します。
また、ロシアのプーチン大統領も「長距離ミサイル使用許可」ということばの裏にある、欧米諸国によるロシア直接攻撃の差し迫った危機をきちんと把握しています。
これはプーチンが前から言っていた「ウクライナ軍への協力を口実にアメリカ軍あるいはアメリカ以外のNATO軍が直接ロシアに侵攻したら、核兵器の実戦使用を含むあらゆる手段を総動員して反撃する」というレッドラインを超えたということです。