… … …(記事全文11,771文字)● 世界GDP2年弱分のコストで、いったいどんなメリットが?
世界経済フォーラムを先頭とするグローバリストたちは、人為的な(つまり人間の営みを原因とする)二酸化炭素排出量をネットでゼロに抑えることを「壮大な挑戦」と呼んでいます。
しかも次のグラフでおわかりのように、この壮大な挑戦に現在の世界GDPの2年分弱のカネがかかることをまるで立派なことのように吹聴しているのです。
いくら2050年まで、つまり今後約四半世紀にわたる長期的な累計だといっても、1年当たり世界GDPの13分の1、7.7%ずつの費用が二酸化炭素削減だけのためにかかりつづけるのです。
それだけのコストをかけて、いったいどんなメリットが得られるのでしょうか。
気候変動危機説を提唱している人たちは、まったく「こういういいことがある」と言っていません。「今すぐ取り組まなければ取り返しのつかない状態になる温暖化をなんとか防ぎ止めて、人類だけでなく全生物が今までどおりに暮らしていけることになる」と主張するだけなのです。
「もし全生物の絶滅などということになったら大変だから、実際にそうなるものなら協力は惜しみたくない。でもほんとうにそんな事態が迫っているのだろうか」と疑問を感じていらっしゃる方も多いと思います。
そう感じている方々には「現状を放置して二酸化炭素の排出量を削減しなかった場合の危機なるものはいつ頃始まって、いつ頃あらゆる種類の生きものが次々に死滅していく状態になるのか」と気候変動危機論者を問い詰めてみることをお勧めします。
増田悦佐の世界情勢を読む
増田悦佐(エコノミスト・文明評論家)