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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.731:居酒屋、ラーメン、焼肉-----飲食店は閉店ラッシュ! 外食産業はどうなっていくのか?


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             山田順の「週刊:未来地図」                 

                            No.731 2024/07/16

     居酒屋、ラーメン、焼肉-----飲食店は閉店ラッシュ! 

                  外食産業はどうなっていくのか?

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■今年は飲食店の倒産ラッシュの年になる

■居酒屋はコロナ禍以前の69.1%と大幅減

■街のラーメン店が次々に姿を消している

■今年の焼肉店の倒産は過去最多のペース

■固定費が大きく利益率が薄いビジネスモデル

■最低賃金を上げたら居酒屋は潰れる

■日本はもともと飲食店が異常に多い国

■パクリですぐ飽和するレッドオーシャン

■「サイゼリア」はなぜ利益を確保できるのか?

■アメリカの外食産業も倒産、閉店ラッシュ

■結局、どうしようとも人口減には勝てない

■江戸の単身赴任社会が生み出した居酒屋文化

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■今年は飲食店の倒産ラッシュの年になる

 

 最近、どこどこの店が閉店、廃業、倒産というニュースが多くなった。街に出ても、つい先日まで営業していた店が閉まっているのをよく見かける。飲食関係のネットを見ると、全国各地で多くの飲食店が姿を消していることがわかる。

 帝国データバンクが4月に発表した、2023年度の飲食店の倒産は802件で、2019年度の784件を上回って過去最多を記録している。

 業態別では、もっとも多かったのが居酒屋を主体とする「酒場、ビヤホール」の207件。続いてラーメン店などの「中華料理店、その他の東洋料理店」の130件、「西洋料理店」の90件、「バー、キャバレー、ナイトクラブ」の72件となっている。

 飲食店の倒産ラッシュの原因は、言うまでもなくインフレによる原料価格の高騰、エネルギーコストの上昇で、そこに人手不足と人件費の上昇、実質賃金の低下による消費不況が拍車をかけている。

 となれば、今年は昨年を上回るのは確実だ。おそらく、今年は飲食店の倒産ラッシュの記録的な年になるだろう。

 

■居酒屋はコロナ禍以前の69.1%と大幅減

 

 日本フードサービス協会がまとめた「外食産業市場動向調査」の2024年4月度集計結果(有効回収事業社233社、3万7030店舗)によると、全体売上は昨年同月比で106.0%、2019年同月比では115.1%と、インバウンド効果やリベンジ消費があって、なんとかコロナ禍前に戻っているものの、居酒屋だけは潰滅状態である。

 協会の業態カテゴリーである「パブ・居酒屋」を見ると、全体売上は2023年比105.7%となっているが、コロナ禍前の2019年比では、なんと69.1%と大幅に落ち込んでいる。飲食業態のなかで、居酒屋だけはコロナ禍が終わっても、回復の兆しすらないのだ。

 コロナ禍が拍車をかけた大手居酒屋チェーンの閉店も止まらない。

 「金の蔵」などを運営する「SANKO MARKETING FOODS」、「JFLAホールディングス」、「ダイヤモンドダイニング」など上場主要15社の店舗数は、コロナ禍前の5557店から2024年年6月末には4268店と約23%も減少している。

 

■街のラーメン店が次々に姿を消している

 

 居酒屋に続いてラーメン店も減り続けている。

 ラーメンは日本の国民食とされ、訪日外国人の人気も高い。訪日外国人はほぼ必ずラーメン店に足を運んでいるので、インバウンド効果は大いにあるはずだが、倒産が相次いでいる。

 東京商工リサーチが4月に発表した2023年度(2023年4月~2024年3月)のラーメン店の倒産(負債1000万円以上)は63件(前年度比173.9%増)で、前年度の2.7倍増と大幅に増加。これまで最多だった2013年度(42件)の1.5倍増で、過去最多を大幅に更新している。

 ラーメン店の倒産は、圧倒的に小・零細規模業者が多い。倒産した63件のうち、負債1億円以上はわずか5件しかない。9割以上が負債1億円未満の小規模店。つまり、行列ができるような人気店、大手の人気チェーン店以外の、街のフツーのラーメン店が次々に姿を消しているのだ。

 63件というのはあくまで倒産件数であるから、その向こうには不振で廃業したり、閉店したりした店が、おそらく何十、何百倍もあるはずだ。

 経済産業省経済センサス活動調査によると、ラーメン店は全国に約1万8000店ある。このうちのおよそ半数が個人経営で、市場規模は約6000億円となっている。この市場の約20%のシェアは上位3社である「餃子の王将」「日高屋」「幸楽苑」が占めていて、この3社の業績は好調だ。また、「一風堂」は国内で135店舗、海外15カ国で274店舗を展開していて、店舗数は海外のほうが上回り。もはや日本のラーメンチェーンとは言えない。

 

… … …(記事全文7,673文字)
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