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山田順の「週刊:未来地図」
No.723 2024/06/04
「世界は多極化する」は“戯言”
AI革命で「アメリカ世界覇権」は揺るがない!
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いまの日本は、世界のトレンドにまったく遅れている。とくに政治家は、ひどい。今後、この世界がどうなっていくのか、まるでわかっていない。
「生成AI」が登場して以来、世界は新しい次元に入った。人類とAIが共生する時代の到来だ。つまり、いまものすごい勢いで進展する「AI革命」に乗り遅れると、国家と国民の未来はない。
もちろん、この「AI革命」をリードしているのは、間違いなくアメリカである。「アメリカは衰退する」「世界は多極化する」などと、いまだに寝言をほざいている評論家がいるが、彼らは日本の政治家と同じで、まったく世界が見えていない。
「AI革命」により、アメリカの世界覇権は今後も揺るぎなく続く。
[目次] ─────────────────────
■最新モデル「GPT-4o」の登場で確信に!
■「汎用人工知能」(AGI)に一歩近づいた
■生成AIをつくったのはすべてアメリカ企業
■「人間対サル」ではなく「人間対金魚」
■AI投資、世界12位でアメリカの100分の1
■AIが変える未来をわかっている指導者は?
■フランスのAI投資と習近平思想のAIの登場
■生成AIで周回遅れ、やっと動き出した日本
■「AIが人類を滅ぼす」が現実化する?
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■最新モデル「GPT-4o」の登場で確信に!
いっとき、私も多くの論者と同じように、アメリカの「覇権」(へジェモン)が衰えて世界が多極化すると考えた。しかし、新型コロナのパンデミックが終わり、「Chat GPT」のような生成AIが登場して、それは誤りだと気がついた。
欧州ではウクライナ戦争が泥沼化し、中東ではイスラエル・ハマス戦争が起こり、中国の拡張主義・戦狼外交も続いている。そんななか、グリーバルサウスが力をつけているのを見れば、もう誰もがアメリカの覇権は終わったと考えるだろう。
しかし、それは地政学に偏った見方にすぎない。いま、素直にこの世界を見れば、そうではないことに気がつく。
つい先日、「Open AI」が生成AIの最新モデル「GPT-4o」を発表し、そのデモを見て、私の考えは確信に変わった。
アメリカ1極世界は揺るぎない。この先も、アメリカの世界支配は続いていくのだと------。
■「汎用人工知能」(AGI)に一歩近づいた
「GPT-4o」の衝撃は、いま、世界中に広がっている。いまや生成AIを使わないでは、ビジネスも日常生活も成り立たなくなってきたが、「GPT-4o」の登場は、それがさらに一段と進むことを示していた。
ともかく、デモを見て驚いた。これまで数秒かかっていた回答が0.3秒に短縮され、まるで人間と話すようにスムースに会話できるようになったからだ。何気ない日常会話から、数学の問題をいっしょに解く、プログラミングをいっしょにつくる、要望どおりの図表を描く、複数言語間の翻訳をしてくれる------と、ほぼなんでもできる。
つまり、このAIは、言語、画像、音声、動画を一括で処理できる能力があり、いずれ登場すると言われていた「汎用人工知能」(AGI:artificial general intelligence)ではないかと思えたのである。