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山田順の「週刊:未来地図」
No.722 2024/05/28
ケネディJr.登場も盛り上がらない大統領選。
このままだとトランプ再選。その先には「内戦」も?
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あと半年となったのに、アメリカ大統領選挙は、まったく盛り上がっていない。それもそのはず、「81歳vs77歳」という「老々対決」のうえ、かたやボケが囁かれ、かたや刑事被告人として裁判中の身だ。
そこで、登場したのが第3の候補ロバート・ケネディJr.だが、この人も70歳と高齢なうえ、名門ケネディ家の厄介者で陰謀論者だ。
本当に、アメリカはどうしてしまったのだろうか?
このまま11月になり、現在の世論調査どおりなら、トランプのカムバックという悪夢が現実のものとなる。いま、アメリカでは近未来映画『シヴィル・ウォー』がヒットしているが、そんな近未来が現実になるかもしれない。
[目次] ─────────────────────
■このままでは悪夢のトランプ復活か?
■じわじわとバイデンに差をつけるトランプ
■4つの裁判の結果次第で変わる支持率
■「不倫口止め」裁判はトランプ不利か?
■「激戦州」でも僅差でトランプリード
■元側近たちはみな愛想を尽かして去った
■ケネディJr.も高齢のうえ麻薬で逮捕暦が
■なぜ、アメリカ人は陰謀論が好きなのか
■「寄生虫が脳を食べた」「副大統領に打診された」
■メロン財閥がケネディJr.に大口献金の理由
■二股のウォール街もトランプに傾く
■テレビ討論会をへて11月5日の投票日へ
■あるかもしれない分断の先の「内戦」
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■このままでは悪夢のトランプ復活か?
アメリカ大統領選挙の候補者が目指すのは、ホワイトハウスである。しかし、バイデンもトランプも行くべきところは、ホワイトハウスではない。それは、老人ホームであるべきだ。このままでは、アメリカは危機に陥る。それがわかっていて、なぜ、「81歳vs77歳」という「老々対決」の大統領選挙を行うのだろうか?
あえて書くまでもないが、私の知り合いの一般のアメリカ人は、みな本当にうんざりしている。まさに、「最悪の選択」が始まろうとしている。
しかも、第3の候補者の筆頭のロバート・ケネディJr.も70歳と高齢で、陰謀論者(conspiracy theorist)である。これでは、どう見ても、大統領選の投票率は史上最低を記録するだろう。
さらに、その結果が、いまの世論調査どおりになった場合、トランプのカムバックは確実ときている。日本のメディアが使う「もしトラ」が「ほぼトラ」が現実になってしまう。これは、欧州諸国と日本などので同盟国がもっとも歓迎できない結果だ。
■じわじわとバイデンに差をつけるトランプ
ハーバード大学米国政治研究センターとハリス・インサイト・アンド・アナリティクスが4月29日に発表した世論調査のなかの一項目「もし今日、大統領選挙が行われた場合、誰に投票するか?」に対して、トランプはなんと48%を記録した。これは、バイデンの43%を5ポイントも上回っている。
3月時の同調査では3ポイント差だったから、少しずつ差が広がっている。
CNNが4月に行った同様の調査でも、結果は同じだ。こちらはトランプが49%で、バイデンが43%。トランプがバイデンを6ポイントも上回っており、1月時の調査と比較すると、トランプは49%で変化はないが、バイデン45%から2ポイント後退している。