━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.677 2023/07/18 インバウンド回復の大誤算。 なぜ中国人は戻って来ないのか? ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20230718090000111583 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-111490.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いつの間にか日本は「観光立国」になり、インバウンド(訪日観光客)に頼る経済ができ上がった。それがいったんコロナ禍で途絶えたが、コロナ禍明けの今年になって回復。夏の観光シーズンが始まったため、いま、メディアは、日本各地を訪れる外国人の話題で持ちきりだ。 しかし、その光景は以前とはまったく違っている。かつてあれほどやって来た中国人の姿が見えないのだ。 いったい、なにが起こっているのだろうか? [目次] ────────────────────────────── ■中国人と思えるのは台湾人、香港人 ■コロナ禍以前に比べて、なんと9割減 ■「来なくなって清々した」という声 ■あてが外れた「日中友好45周年」 ■北京は国民を日本に行かせたくない ■団体ツアー解禁で浮かび上がる北京の思惑 ■台湾有事と総統選挙でインバウンド回復は無理 ■背景にある経済の減速と人民元安 ────────────────────────────────── ■中国人と思えるのは台湾人、香港人 コロナ禍前は、新幹線に乗ると必ず中国人観光客に出会った。車内では中国語(北京語)が飛び交って、静岡県に入って富士山が見えると、中国語の歓声が聞こえてきた。 訪日中国人観光客には、「ゴールデンルート」という定番の観光コースがある。それは、成田で入国し、東京→名古屋→京都→大阪という順に巡り、関空から帰国するという、およそ1週間から2週間の日本の旅だ。 したがって、このゴールデンルートとその周辺の観光地なら、どこに行っても中国人に出会った。 ところが、今年の夏は中国人観光客に出会わない。前記したように、新幹線にその姿はほとんどないし、東京の銀座・新宿・浅草にもその姿はほとんどない。私は横浜在住なので、中華街・元町、みなとみらいをよく歩くが、そこでも中国人をほとんど見かけない。 こう言うと、「そんなはずはない。私はいっぱい見かけた」と言う人がいるが、それは、台湾人か香港人だ。日本人にとっては、大陸からの中国人も台湾人、香港人もみな同じに見えるのだ。 いったい、中国人はどこへ行ってしまったのか? ■コロナ禍以前に比べて、なんと9割減 日本政府観光局(JNTO)は、毎月、訪日外国人客数を発表している。それによると、2023年1~5月累計の訪日中国人客数は38万6100人。昨年に比べれば増えているが、コロナ禍前に比べたら圧倒的に少ない。これは、コロナ禍前のなんと約9割減である。… … …(記事全文5,340文字)