━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.676 2023/07/11 岐路に立つバイデン・アメリカ 「学生ローン」「人種優遇」停止で経済失速も? ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20230711090000111317 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-111225.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 夏休みが終わるまでに、なんとしなければならない問題が、いまアメリカ人の生活に暗い影を落としている。先ごろ、最高裁が下した「学生ローン免除」と「積極的人種差別是正措置(アファーマティブ・アクション)」の違憲判決だ。 もし、このまま最高裁判決で学生ローンの免除が停止されれば、それは増税と同じだから、経済に大きな影響がある。もちろん、生活困窮者、破産者が出る。アメリカには学生ローンの借り手が4500万人いて、その総額は約1.6兆ドル(約230兆円)に上る。 同じような学生ローン問題を抱える日本にとっても、これはけっして他人事ではない。 [目次] ────────────────────────────── ■高らかに「バイデノミクス」の成功を宣言 ■学生ローンの免除停止は経済失速をもたらす ■もはやマイノリティ優遇策は必要なし ■学生ローン免除はなぜ違憲なのか? ■先を急ぎすぎて判断を誤ったバイデン ■背景にある保守派とリベラル派の対立 ■9月から利息発生、10月から返済開始 ■学生ローンの債務は一生ついて回る ■大学を出なければ中間層の暮らしはできない ■中間層でも子供を大学に行かせられない ■54%が平均2万9100ドルの債務持ち ■バイデン政権を阻んでいる中道派の壁 ────────────────────────────────── ■高らかに「バイデノミクス」の成功を宣言 2023年6月28日、ジョー・バイデン大統領はシカゴで演説を行ない、これまでの経済政策を自画自賛、来年の大統領選に向けてのアピールとして、自身の政策「バイデノミクス」(Bidenomics)をさらに進めると述べた。 「今日、アメリカは高い経済成長率を誇り、新型コロナウイルスのパンデミック以降、世界経済をリードしている。 みなさん、これは偶然ではない。これがバイデノミクスの成果だ。バイデノミクスとは、富裕層を優遇するものではなく、中間層が経済を主導していくものだ」 しかし、大統領が言うように、アメリカ経済はそこまでよくなっていない。中間層は増えていないし、依然として高い率のインフレが続いている。最近の「ギャラップ」(Gallup)の世論調査によると、76%のアメリカ人が経済状況は悪化していると答えている。 そんな状況にさらに追い打ちをかけるかのように、バイデン演説の直後に、連邦最高裁は2つの“画期的”な判決を下した。… … …(記事全文8,405文字)