━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.054 2013/09/17 2020年東京オリンピックは移民を受け入れる絶好のチャンス ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013091709000017428 EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-18097.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2020年の東京オリンピックが決まって、東京が今後どう変わるのかが、大きな話題になっています。インフラ整備が進み、再開発が行なわれ、経済特区もできるだろうと言われています。 しかし、本当に東京が変わらなければならないのは、そんなことではありません。世界から移民を受け入れて、本当の意味でグローバルシティ(国際都市)になることです。 そこで今回は、この移民問題について徹底的に考えてみます。 [目次]────────────────────────────────── ■2020年、東京の街を歩くと10人に3人が老人 ■スポーツや企業活動だけのウィンブルドン現象 ■高度人材だけに来てほしい。ほかの人材はいらない ■実際には、これまで単純労働者を受け入れてきた ■欧米人以外の外国人に対する根強い差別 ■仕事復帰をする母親の子供の面倒は誰がみる? ■なぜ、日本人は外国人を拒むのか? その理由 ■日本のタテ社会は外国人を受け入れられない ■日本社会の異質性はグローバル経済に合わない ■移民受け入れに転じた韓国はやがて別の国に ■多様性こそが、私たちの社会を発展させる ■多文化社会を知らないから移民がイメージできない ■聖徳太子は中国人? 日本はかつて移民国家だった ■日韓W杯のときの天皇陛下の「ゆかり発言」 ■はたして東京はグローバルシティになれるのか? ────────────────────────────────────── ■2020年、東京の街を歩くと10人に3人が老人 オリンピックが来ると決まったというのに、日本の最大の問題、移民を受け入れるかどうかは、現在、議論もされていない。経済効果や新しくできる施設などの話題ばかりで、この問題は忘れ去られたかのようだ。 しかし、オリンピックとなれば、世界から多くの人々が東京にやって来る。そうなれば、東京がじつはグローバルシティ(国際都市)ではなく、日本人だけが暮らす「鎖国都市」であることに、多くの人が失望するだろう。 この国は、「おもてなしの心」で、外から来る人を歓待してくれる。しかし、それは表向きだけだということがわかってしまうだろう。 このメルマガで何度か書いてきたが、一国の経済を決定づけるのは、人口である。人口ボーナス期と人口オーナス期では、経済は180度変わる。現在、日本は人口オーナス期に入り、経済は沈んでいる。 しかも、高齢化が世界最速で進んでいる。 そういうことも併せて考えれば、東京が本当の国際都市になり、日本経済が活力を取り戻すためにも、移民は絶対必要だ。あと7年後、2020年の日本の総人口は、現在より300万人減って1億2411万人になると予測されている。このうち高齢者人口は3456万人で、高齢化率は、なんと30%に迫る。つまり、東京オリンピックが開かれる2020年、東京の街を歩くと、すれ違う人の10人に3人が老人となっているのだ。 タクシーを拾えば、運転手はほとんど老人。五輪会場の観客も子供よりも高齢者が多い。こんなシルバーシティに、世界中から若いアスリートや観光客がやってくる。 彼らは、日本にどんな印象を抱くだろうか? ■スポーツや企業活動だけのウィンブルドン現象 オリンピックが決まったので、日本の経済衰退は止まる。アベノミクスも成功するという楽観ムードが高まっている。しかし、日本の根本問題、日本人が今後減っていくという問題が解消されるわけではない。 経済発展イコール社会の発展にとって、どんな金融•財政政策、成長戦略よりも、人口増と若い力が必要だということに、異論はないと思う。欧州諸国はそれにいち早く気がついて、すでに20年も前から移民政策を転換してきた。… … …(記事全文12,518文字)