… … …(記事全文3,363文字)<供給不安と脆弱な在庫環境>
NYMEX原油先物相場は年初の1バレル=71.85ドルに対して、1月15日高値は80.77ドルに達した。昨年10月にイスラエルとイランの軍事衝突でイラン産原油の供給不安が高まった際の高値が78.46ドルだが、それを大きく上回る価格水準になっている。昨年7月19日以来、約6ヵ月ぶりの高値を更新している。
【NYMEX原油相場(日足)】
原油相場の上昇要因は複合的であり、年初は1)中国景気対策への期待感を織り込む動きが優勢だった。その後は徐々に2)北半球の寒波にテーマを変え、1月10日以降は3)バイデン米政権の発表した対ロ追加制裁による供給不安がそこに加わった形になっている。全体として短期需給の引き締まりが警戒される中、米国内原油在庫の水準の低さも再注目されている。これまでは、原油在庫水準の低さはほとんど無視されていたが、突発的な供給障害が寒波や経済制裁に起因して発生した際の供給対応について、不確実性が意識された。