■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ <1ヶ月にビジネス書5冊を超える知識価値をe-Mailで> ビジネス知識源プレミアム(660円/月:税込)Vol.1351 <Vol.1351号:増刊:プリゴジンの反乱への疑惑> 2023年6月30日:プリゴジン事件の意味するものを解く ウェブで読む:https://foomii.com/00023/20230630154912110925 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ホームページと無料版申し込み http://www.cool-knowledge.com 有料版の申込み/購読管理 https://foomii.com/mypage/ 著者へのメール yoshida@cool-knowledge.com 著者:Systems Research Ltd. Consultant吉田繁治 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 民間軍事組織のワグネル軍を率いるプリゴジンの反乱が起こりました。ロシアは内部分裂し、プーチンの支配体制が弱体化している。ロシアは近々崩壊するだろうという観測がされています(6月29日時点)。 確かに、西側と日本のメディアが強調して報じることからは、そのように見えます。 ↓ しかし「ロシア軍の内部分裂」という観測とは矛盾する、大きな状況証拠が二点あります。これをどう解釈すべきか・・・本稿で示します。 ■1.状況証拠(1)・・・話し合いの偽装反乱 : ロシアの正規軍の司令本部は、ロシア南部のロストフナドヌー市(人口100万人)にあります。ワグネル軍はわずか50名で軍司令部(副司令官が常駐するとされる)を占拠したとされています。 注)ワグネル軍の総員は2万5000人とされます。モスクワに北進したのはこのうち5000人とされています。 ロシアの正規軍が、戦闘もなく指令部を明け渡すでしょうか。 普通は、激しい戦闘になります。反乱軍は殲滅されるか、捕獲されます。軍司令部の占拠は、ロシアの占拠と同じ意味をもつことだからです。 SNSでは、ロストフナドヌーのプリゴジンを、市民が歓呼していました。正規軍がワグネル軍とプリゴジンを攻撃した様子はない。ブリゴジンと、モスクワにいる国防相のジョイグおよび参謀総長のグラシモフに「ワグネル軍の、正規軍編入」の金銭的な条件を巡って対立があったことは事実です。 ◎しかし南部の指令部(ロストフナドヌー)では正規軍と話す様子が、SNSに投稿されています。「話し合い」があって、南部の正規軍が偽装的に指令部を、50人のワグネル軍に明け渡したとしか観察できない。 他に、合理的な説明はできないと考えますが、読者のみなさんは、どう考えますか? なお正規軍の副司令官スロビキンは、ワグネル軍の反乱を知っていたとされ、反乱関与の疑いで逮捕されたという(6月29日:真偽はまだ不明)。これにも「偽装逮捕」の可能性はないでしょうか。 ◎ワグネル軍は、現在、約5000人の部隊がルカシェンコ大統領の仲介でベラルーシに駐屯し、約2万人が東部のルハンシク州にいるとされています。 プーチンは、ロシアに残っているワグネル軍に、1)政府軍として契約するか、2)故郷に帰るか、3)ベラルーシに行くかは自由だと表明しています(演説)。 プーチンの母体だったKGB(秘密警察:現在はFSB)は、CIAやイスラエルのモサドのようにスパイと遊撃作戦が任務です。敵の機密情報を盗む、敵が有利になる情報を流す、敵を偽装暗殺する。敵を攪乱し混乱させるためには味方も欺く。これが、秘密警察です。日本には「中野学校」がありました。 今回の戦争でも米国のCIA、英国のMI6、ロシアのFSB(連邦の保安庁)が暗躍しています。とりわけプーチン政府は、KGB出身とエネルギーと軍需資本家のオリガルヒが枢要な部署を固めています。民間軍事会社は、大小で37もあるという。 プーチンの宮殿(黒海沿岸のゲレンジーク:建設費総額1500億円;トランプのマー・ア・ラゴに類似)は、原油産業のオリガルヒが提供しています。バイデンと息子の不正賄賂が可愛くなる規模です。 https://www.youtube.com/watch?v=MAPkNRmXQvc アフリカとスーダンの金と原油の商売をしているブリゴジンの、実戦経験が豊富なワグネル軍(2万5000人)には、プーチンは、約1500億円/年を支払って戦争に参加させていました。軍事会社にとって、戦争は事業でありマネーです。 食品の事業をもつブリゴジンには、正規軍への食糧供給費として、ロシア政府が他に1350億円を渡していたという(いずれもプーチンの演説)。 ◎民間軍事会社のブリゴジンの反乱は、プーチンおよび正規軍と示し合わせた偽装だった可能性を感じるのです。ロシアの、米国に向けた遊撃作戦です。 ■2.状況証拠(2)・・・ベラルーシへの戦術核の配備 ロシアは6月16日からベラルーシに核ミサイルの配備施設を作っています。戦術核の弾頭が配備されるという(ロシア、ベラルーシのルカシェンコの両方が公言) https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-belarus-nuclear-idJPKBN2Y00DE 小型の戦術核は。国際条約ではまだ禁じられていませんが、小型でも核兵器です。1発で、ヒロシマの3倍から5倍の破壊力をもつ大量破壊力をもちます。容易には使えない。使えば、エスカレーションの核戦争の可能性が高くなります。 ロシアは、1583発の戦術核の弾頭をもつという。このうちから、ベラル-シに配備される予定の約半数がすでに運び込まれています(共同:ルカシェンコ大統領)。7月9日に完了するという。 ◎奇妙なことはイランの核兵器製造疑惑には、空爆の戦争までを仕掛ける米国が、23年6月のベラルーシへの核配備には「猛烈な抗議」をしていないことです。 米国務省は、戦争中だから仕方がないと考えているのか、あるいは手がないのか。CIAが、プーチンと裏で手を握っていることはまさかないでしょう。しかし戦争では、敵国と裏で関係があることの可能性はゼロではありません。公式には、米国は、ウクライナ戦争(ロシか対ウクライナ)の第三者です。ここがまず、不思議な点です。 親ロシアのルカシェンコは、ウクライナ軍の名を借りたNATOからの攻撃を、もっとも恐れていました。核兵器をもてば、NATOはベラルーシから攻撃があっても反撃ができなくなる。核でのヨ─ロッパあるいは米国への報復の口実を与えるからです。これが、核の抑止力です。 このため、プーチンはルカシェンコの要請で戦術核をベラルーシに運んだのでしょう。核ミサイル発射の暗号はプーチンが持っていると思われます。しかし、ルカシェンコ大統領はスピーチではベラルーシが単独で核ミサイルを発射できるといっています。ここも本当かどうかわからない。 〔事実〕ベラルーシの西は、ポーランドです。ポーランドは、有力なNATO加盟国です。ウクライナへのNATOと米国からの兵器支援の要路(ロジステックス)は、ポ-ランドからキーウに至る道路や鉄道です。ベラルーシの国境からは、南方の至近距離です。 https://www.travel-zentech.jp/world/map/Belarus/Map_of_Belarus_and_neighboring_countries.htm 戦争では兵器、ミサイル、弾薬のロジスティクス(供給物流)を絶てば、前線の敵軍は、短時間で壊滅し、潰走します。 〔歴史〕米国に対して物資に乏しかった日本軍は、南方戦線のロジスティクスができず破れました。米国の戦闘機が輸送船を爆撃したからです。戦争には勇敢な精神が必要ですが、勇敢さだけでは戦えない。 ワグネル軍の5000人は、ベラルーシにいきました。 ルカシェンコは「合法的な軍」として遇し(スピーチ)、駐屯の兵舎を提供しています(これも事実です)。 ワグネル軍の指揮官だったプリゴジンは、ベラルーシにプライベートジェット機で亡命しました。西側メディアでは、プリゴジンはいずれ暗殺されるとされていますが果たしてそうか? 暗殺されるなら、「ワグネル軍は合法的な軍」とはされないのが論理的でしょう。 ここからは論理による推測です。ルカシェンコの、戦術核を配備し、NATOから直接は攻撃されない体制を作って、ブリゴジンのワグネル軍5000人を合法的な正規軍として受け入れた目的は何か? ポーランド国境からキーウに通じるNATOのウクライナへのロジスティクス路(ベラルーシの南)を破壊するためだと推測ができます。プーチンがルカシェンコの協力を得て計画したことでしょう。 ブリゴジンの消息が、メディアに不明になると怪しい。最新の情報では、ベラルーシに行ったとされていたブリゴジンは、今度は。サンクトペテルブルグ(ロシアの副首都)のワグネル軍本部に戻ったとされています。ロシアが逮捕しないとしたからです。サンクトペテルブルグは、ドストエフスキーが『罪と罰』で描いた、セーヌのようなネヴァ川がある大都市です(人口539万人)。 〔事実では〕ワグネル軍5000名は、ルカチェコの仲介で法的な正統性を獲得し、ベラルーシとウクラナとの国境に駐屯してます(英軍は衛星で確認しています)。 あと3週か4週すれば、こうした奇妙な動きの全貌がわかります。ロジスティクス破壊の、軍事作戦の可能性が高まるからです。ロジスティクスが破壊されれば、ウクライナ軍は戦えず夏か秋の停戦の可能性も出てきます。 NATOからウクライナへのロジステック路への、ワグネル軍からの攻撃があれば「ブリゴジンの反乱はロシアのFSAと正規軍も加担した遊撃作戦(情報戦)」であったことになるのです。 時間の経過とともに「不自然なこと、奇妙なこと」が、目的合理性の論理でつながっていきます。国家の戦争も、その中の事件に、不可解なことが絡む複雑系の事象です。 サッカーやラグビーのように整合的なものではない。日米戦争もそうでした。ヒロシマ、ナガサキに原爆を落とした正確な経緯は、まだ明らかになっていません。 幕末から明治への維新への動きにも史観の対立があります。明智光秀の単独の謀反とされる本能寺の変にも、背景(秀吉の策謀)が指摘されています。証拠が消えていることには歴史的なことも目的合理性の論理で推測するしかない。 【後記】 米国では、FRBによる銀行のストレステストの結果が想定されました。2025年までの経済と金融を想定し、銀行の損失は最大78兆円であり、約150兆円の自己資本が消える金融危機に至らないとされています(銀行マネーは2000兆円)。これは「米国には銀行危機はない」とするためのFRBの予防線でしょう。銀行危機の前には、各国が行うことです。 日本では、2000年ころ、1990年からの資産バブル崩壊からの銀行の不良債権は100兆円とされました。実際は200兆円あって、処理には2010年までかかったのです。都銀21行は3つのメガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)に統合されました。 銀行は、危機の可能性があると当局がいえば、取り付けが起こって、本当に潰れるからです。預金は安全という心理的な信用で成り立つ銀行に対しては、支援対策を作ったあとでないと危機とはいえないのです。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源プレミアム・アンケート:感想は自由な内容で。 以下は、項目の目処です。】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲であなたの横顔情報 があると、今後のテーマと記述の際、より的確に書くための参考になります。 コピーして、メールに貼りつけ記入の上、気軽に送信して下さい。 感想やご意見は、励みと参考になり、うれしく読んでいます。 時間の関係で、返事や回答ができないときも全部を読みます。 時には繰り返し読みます。 【著者へのひとことメールおよび読者アンケートの送信先】 yoshida@cool-knowledge.com 【送信先アドレスの変更や解約は以下よりお願いします】 マイページ(ログイン) https://foomii.com/mypage/ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~