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吉田繁治 (経営コンサルタント )

吉田繁治

ビジネス知識源プレミアム:土曜増刊:海外投資家が先物の売り越しを開始した
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■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ <1ヶ月にビジネス書5冊を超える知識価値をe-Mailで> ビジネス知識源プレミアム(660円/月:税込):Vol.1349 <Vol.1349号:土曜増刊:海外投資家が先物の売り越しを開始した> 2023年6月24日:日本株の今後を決めるもの ウェブで読む:https://foomii.com/00023/20230624103644110666 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ホームページと無料版申し込み http://www.cool-knowledge.com 有料版の申込み/購読管理 https://foomii.com/mypage/ 著者へのメール    yoshida@cool-knowledge.com 著者:Systems Research Ltd. Consultant吉田繁治 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 23年3月末以来の、日本株の上昇は、東証の売買の70%を占めている海外ファンドの買い越しによるもの以外ではない。4月から11週連続で25%上げてきた日経平均が、6月の3週から下げています。この下げが何を意味しているのかを、本稿で探っていきます。 【3月の売り越し、4月、5月、6月2週までの買い越し】 米銀危機の3月には、海外ファンドは、日本株を2兆2500億円売り越していました。売り越しとは、「買い-売りの差額」です。 過去から、日本株は海外ファンドが買い越すときは上がり、売り越すときは下がってきました。 その構造的な原因は、 ・海外ファンドの売買額が約70%を占めて価格形成をし、 ・日本人(個人、金融機関、事業法人)の売買は受け身の30%に過ぎないからです。 この構造は、米国の株価時価総額(約6000兆円)が、東証の8倍であることから来ています。 ウォーレン・バフェットが来日し「日本株は買いだ」と記者に言った直後から、米系ファンドは10週(5兆円)の買い越しを始め、日経平均を2万7000円台(3月末)から3万3700円(6月15日)へと25%も上げました。 日本はこの2か月間、時ならぬ「株価ブーム」に沸いています。女性週刊誌が株価にページを割くときは、普通ブームの終わりです。 個人投資家は、メディアは乗らず、過去の損を回復数する売りを行い、含み益を出している海外ファンドとは逆に売り越して、株価の25%上昇の利益を確定しています。海外ファンドと、日本の個人投資家の売買は、いつも真逆です。 4月からの海外ファンドの買い越しが、短期の先物主導あることを見越した人もいるのかもしれません。 【海外ファンドに多い先物の売買】 先物の買いは、3か月先が多い限月までには、売って清算しなければならないからです。(注)5月には事業会社の自社株買い3.2兆円も加わっています。自社株買いは、流通株を減らすので2倍の、6.4兆円の買いの効果があるでしょう。 (投資家主体別の買い越し/売り越し) https://www.traders.co.jp/margin_derivatives/investor_trends (23年3月の自社株買い3.2兆円) https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71445690Q3A530C2ENI000/ 「時(とき)ならぬ」とは、経済のファンダメンタルズ(基礎的な指標)から見て、上がる材料はPBR(株価自総額/純資産)が1倍の解散価値を割った企業が60%を占め、この2年はいつも「出遅れている」という評価しかなかったからです。 解散価値とは、会社の資産を売って、負債を清算したとき残る資産です。会社の経営価値は、評価されていなかった。日本株のPBRは平均で1.3倍と世界1低かった(現在は1.37倍)。 https://myindex.jp/global_per.php 米国株のPBRは3倍付近です。世界平均は2.6倍です(23年5月)。証券会社は「世界に出遅れている」として買いを誘っていました。 まさにそのとき、ウォーレン・バフェットが来て「(価格評価が低い)日本株は買いだ」と煽りました(23年4月10日)。しかし個人投資家は、合計では売り越しました。 バフェットが主宰するバークシャー・ハサウェイの運用資産の時価総額は、7355億ドル(103兆円)と巨大です。 ◎バークシャー・ハサウェイ1社の買いで日経平均を上げることができます。中央銀行並みの、株式運用マネーをもつからです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <Vol.1349号:土曜増刊:海外投資家が先物の売り越しを開始した> 2023年6月24日:有料版・無料版共通 【目次】 ■1. 世界の株の売買 ■2. AIでのテクニカル分析と、自動売買 ■3. 中央銀行よりマネー量が巨大化したファンド ■4. SDGs投資を煽る政府 ■5. ヘッジ・ファンドの報酬 ■6. 米国経済の金融化 ■7. 6月の3週からの日経平均 ■8. 米欧の商業用不動産の価格(2023年8月~) ■9. 不動産価格下落は、株価のバブル崩壊になる 【後記】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■1.世界の株の売買 世界の株式売買の約60%から70%は、HFT(超高頻度売買:1秒に数千回から数十万回)を行うAIロボットが行っています。HTFでは主に先物と現物の価格差の裁定売買、レバレッジがかかるCFD(差金決済の取引)、先物の売買が行われています。現物の売買は、ゆっくりしていて、投資家やファンドマネジャーの判断で行われています。 ファンドマネジャー(運用責任者)は、 ・株式、債券、コモディティ、通貨などの銘柄のポートフォリオ(運用構成比)を変えるとき、 ・売買の方向を変えるとき、関与しています。 【日本株が25%上がった原因】 ◎バフェットが訪日した4月の1週からは、ファンドのマネジャーは、1週5000億円の買い越しで、大きく上がる可能性が高いと見て、日本株の運用構成比を、たぶん1ポイント大きくしたのです。ヘッジ・ファンドは、23年1-3月期の米国株下落、損をしていたところが多かったからです。 (注)S&P500は、23年2月4200→3月は3855(銀行危機の3月15日)。-8%でした。現在は、3855から4350まで13%回復しています。しかし、4月からの日本株の上昇(25%)は世界1大きい。 ◎世界のファンドでの、日本株の構成比(ポートフォリオ)は平均で5%くらいでしょう。1ポイントの増加でも、ファンド全体では20%の買いの増加になります(1週4000~6000億円の日本株の買い越し)。 【ポートフォリオの変更】 ポートフォリオ変更が、4月、5月、6月の5兆円の日本株買い越しの理由でしょう。 3か月サイクルが多いと思われる、定期的なポートフォリオの構成比変更はファンドマネジャーの、もっとも大きな仕事です。 ・世界の市場の株は、ほぼGDPに比例して売買しています。 ・株に加えて債券(国債)、通貨、原油・金・穀物のコモディティもあります。 株価は買いが超過すれば上げ、逆なら、下げるだけのものです。 証券アナリストのリポートが書くもっともらしくは見える理由は「貨車」でついて来ます。あれが勝因、これが敗因だったという、スポーツのあとの評論家の解釈と同じです。 プレーヤーは激しく動いている、結果が見えないゲームのなかで、その都度、チャンスに見えるプレーをしています。 いま、佐々木大地7段との棋聖のタイトル戦で、藤井聡太7冠がめずらしく負けました(公式戦での負けは6.3%くらいの低い確率)。一勝一敗です。後解釈なら、棋力がない私でもできます。 プレーヤーは未来(結果)が見えなかで、結果に意味があると判断したプレーをしています。解釈は、未来の結果が出てから行う。 結果が、プロセスを意味づけるからです。株価の結果を見たあとの解釈は、リアルタイムの意味づけではない。生きることも、結果が分からない道行きです。 【後解釈】 youtubeを見ると、後解釈だらけ。誰にとっても確定したものは過去のデータしかなく、3か月後の未来のデータはないからです。 予想の95%くらいは「トレンドフォロー」です。人間の判断がないベイズ統計(後述)のAIには、確率的なトレンドフォローしかできません。 要は、過去の傾向を延長するだけです。 現在、7月、8月の日経平均はどう予想されているでしょうか。 推計ですが、金融メディアの論評からは上がるという予想が70%、下がるとい予想が30%くらいでしょう。あるいは、80%、20%の分布か。 ■2.AIでのテクニカル分析と、自動売買 以上ことは、世界の株式投資が大衆化した1970年代から、50年同じです。株価の移動平均(または、加重移動平均のMAC-D=指数平滑)の傾向線を延長したものが、テクニカル分析の基礎だからです。 AIでは、時系列で価格統計のサンプル数を増やしていく「ベイズ統計」を使うプログラムが多い。「ベイズ統計」は、コロナRNAのように常に変化しているコンピュータウイルスからの防御にも使われる予想函数でもあります。加重移動平均のMAC-Dのサンプル数を時系列で増やしていき、新しい確率としていくものです。 chatGPT(生成型AI)に、ベイズ統計の概要を訊ねると、以下のようにほぼ正確な答えをしました。専門の前の、大学の教養学部では合格でしょうか。 <ベイズ統計は、確率論の一分野であり、統計的推論や予測を行うための枠組みです。ベイズ統計は、トーマス・ベイズ(Thomas Bayes)という18世紀のイギリスの数学者にちなんで名付けられています。 ベイズ統計では、データと事前知識(既知の情報)を組み合わせて、パラメータの事後分布(後の確率分布)を推定します。この手法では、確率分布を表す確率密度関数や、確率質量関数を使用して、不確実性を表現します。 ベイズ統計の特徴的な要素は、「事前分布」と「尤度(ゆうど)関数」を組み合わせることです。事前分布は、データ収集前のパラメータについての確信度を表す分布であり、尤度関数は、データが与えられた条件下でのパラメータの、尤(もっと)もらしさを表す関数です。これらを、ベイズの定理を用いて組み合わせることで、事後分布を得ることができます。 ベイズ統計の利点は、事前知識を明示的に組み込むことができる点です。また、データ量が少ない場合でも、事前知識を考慮することでパラメータ(予測変数)の推定を改善できる場合があります。さらに、ベイズ統計は階層モデルやベイズ的決定理論など、さまざまな統計的手法やモデル化手法と組み合わせることも可能です。 ただし、ベイズ統計は計算上の複雑さがあるため、数値計算やモンテカルロ法(総当たり法)などの特殊な手法が必要な場合があります。また、事前分布の選択によって結果が影響を受けるため、適切な事前分布の選択が重要です。 ベイズ統計は、医学研究や機械学習、経済学、社会科学など、さまざまな領域で応用されています。データ分析や予測モデリングの手法として、ベイズ統計は強力なツールとなっています。(以上で回答終わり> ■3.中央銀行よりマネー量が大きくなったファンド 米国の銀行マネーは、総量で、20兆ドル(2800兆円)くらいです。一方政府の規制がないノンバンク(ヘッジ・ファンド、インデックス・ファンド、年金基金など)の運用マネーは、50兆ドル(7000兆円)であり、米銀の2.5倍です。バークシャー・ハサウェイもノンバンク(基金)の範疇です。 ファンドで最大の「ブラックロック(いわば黒岩さん)」の資金量は、9.09兆ドル(1273兆円)です。日銀の資金量(736兆円)の1.7倍、FRBの総資産8.6兆ドル(1204兆円)に匹敵します。 ・2位の「バンガード(前衛)」が8.4兆ドル(1176兆円)、 ・3位の「フィデリティ・リサーチ(忠実研究)」が4.2兆ドル(588兆円)と日銀並みです。 彼らは、世界の株を筆頭株主としてもち、アクティビスト(物言う株主)になり、世界の企業を支配しています。 世界のメデイア株は、ルバート・マードック(92歳)が支配し、報道の方向を決めています。 ◎ファンドのマネーは、ごく少数の人に集中しているので、株価の方向とメディアの論調は、ごく少数の人物が支配しています。社員は、株主の方針に忠実でないと離職しなければならないからです。利益目標は、株主が作っています。人事と報酬が会社の方針です。 【20年で26倍】 S&P500の株価は、過去20年で、170ドルから4380ドルへと26倍に上がっています。平均年率で18%上昇です。 ファンドの運用マネーも、2000年代の20年で、26倍の50兆ドル(7000兆円)に膨らんだのです。20年前は、270兆円とささやかだった。現在は26倍の7000兆円。ファンド談合すれば、世界を動かします。93歳になっても元気なウォーレン・バフェットはファンド業界の広告塔でしょう。 ◎今回の日本のように、狙った株式相場や、ITのGAFAMを、資金量が7000兆円の、ファンドの売買の加減によって動かすのは、たやすい。 2001年の陰謀(9.11)のあとの、22世紀の20年で巨大化したノンバンクは、世界の中央銀行より、はるかに大きく、投資家が預託したマネーを動かしていることを知っておいてください。 ↓ ◎世界のほとんどの人は、金融では政府と中央銀行が政策を実行していると考えています。しかし、2000年以降では、ノンバンクです。戦争も、彼らが政治家の裏組織になって、起こしてきました。 【ファンドが株をもつところ】 軍事会社、石油メジャー、穀物メジャー、製薬会社、メディアの株を売ると脅せば、CIAの策謀が実行され、戦争が起こるでしょう。パンデミックは、社会内のウイルス戦争の現象を生みます。 米国の巨大ファンドが、政府、政治、中央銀行をのっとった国家になっています。ここがディープ・ステート(DS:影の政府)の本拠です。DSは、正式な名称になってきました。FRBの株も、米英の銀行株を経由して、彼らがもっています。資本主義=株式主義は、利益を誘因とする制度です。 ・中国は、国家資本主義です。 ・ロシアは、資源・エネルギーのオリガルヒ資本主義です。 ・日本は何でしょう。引退が増えた、団塊の世代資本主義か? ■4.SDGs投資を煽る政府 巨大ファンドが現在、マネー(=証券)にしようとしているのは、社会正義の名を借りて、気候変動の削減を名目にした二酸化炭素の排出権です(SDGs投資という)。これも首謀はDSです。 2030年までに毎年5~7兆ドル、7年で35~49兆ドルが必要と試算されています(4900兆円から6860兆円)。 ・グレタ・トゥンーベリ(スウェーデン)は、ファンドのマスコットです(作り上げられたジャンヌ・ダルクの役目でしょう)。気象学会が、その組織です。 https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/sdgs_esg_toshi/ 【テスラというEVのスター】 電気自動車(EV)のテスラ(136万台)は、SDGs投資を推進する米政府から、1台の生産につき、約100万円の補助金を受けています。日本政府も、国産EVに対し1台85万円の補助金を出しています。 テスラ一社で、年間1.4兆円の、政府補助金です。テスラの1台当たり115万円の利益は、ほぼ全部、政府の補助金(国民の税金)です。 これが「作られた社会正義」になった二酸化炭素削減への、貢献のおこぼれです。発電のとき化石燃料を燃やすので、EV化だけでは二酸化炭素削減にならないという偽装があります。 1.4兆円の利益が、PER 76倍(純益の76倍)の高い株評価になり、10倍の台数の生産をするトヨタの3倍の、100兆円の株価時価総額と大富豪イーロン・マスクの資産になっているのですから、一体、テスラとは一体何者か・・・とも思います。 テスラは、ハイブリッドを時代遅れにして、トヨタ潰しのため米国政府が育成している企業でしょう。米国の、国家戦略です。 ところが、あらゆる国際協定でダブルスタンダードが多い米国は、二酸化炭素削減の京都議定書の協定からは離脱しています。この矛盾はどこから来ているのか。 ◎偽装の二酸化炭素削減は、これから10年、もっとも大きな産業の動きでしょう。 ■5.ヘッジ・ファンドの報酬 ヘッジ・ファンドのマネジャーは、自分が責任をもつ運用マネーの約2%を報酬にしています(顧客との契約手数料、日本では1.5%平均)。ヘッジ・ファンドでは、顧客に利益がでたときは利益の20%が、運用報酬です。 https://fundwrap-research.com/ (注:告白すれば・・・)実は当方も、20年くらい前、英国系ファンド(AIG)の投資マネー集めを誘われたことがありますが、「なんだか、なぁ・・・」と気が進まず、行いませんでした。 20億円の投資家を集めれば、4000万円/年の報酬という。でもこれは利権への癒着であり、人を裏切ります。不動産売買での、住宅建設会社と癒着した宅建の手数料のようなものです。 ファンドに群がる金融コンサルタントは、報酬が公開されない怪しい仕事です。銀行と証券会社も、ファンドの販売をしています。まぁ、ファンドのマネーを預託する人も欲にかられていますから同じようなものです。 そして、実はその前、1990年ころだったか、IMBの幹部も、中小型機のコンピュータ販売のアフィリエート(協力者)の手数料を提案してきました。これも謝絶し、IBM主催の連続講演を受けるだけにしたのです。格好を付けたのではない。イヤな感じがしたのです。 米国の会社で広く一般化している制度が、この営業協力です。 アマゾンにも、アソシエイトという販売協力者の制度があります。 政治家がこれをやると、不正リベートです。企業からの政治献金に偽装されています。 【軍需産業と製薬会社】 WHO(世界保健機構)やCDC(米疾病予防管理センター)は、製薬会社(軍需産業を超える最大のロビイスト)から巨額のマネーを得ています。医療とは、製薬会社のことです。 東京にも、CDCの支部が作られました。これは日本の第一三共が作ったmRNA型ワクチンの承認のためでしょう。たぶんCDCが販売利権を要求したのでしょう。 この癒着の構造は明らかになることはないので、推測です。 利益が大きな製薬会社は、多くの学者・医師に、研究費補助という名目のリベートを払っています。医療業界を支配しているといっていいでしょう。世界中が接種したコロナのワクチンで実証されています。 ワクチンは1人あたり1回で4900円。30億人が3回接種すれば、90億回ですから、44.1兆円。世界の政府が補助したので、国民の負担感はないのですが、いずれ医療保険+税になって、国民負担になります。政府予算はそうしたものです。無償に見えてあとでツケがきます。 ・石油メジャーと商社も、ウクライナ戦争からの価格高騰で3000億ドル(42兆円)の利益を得ています。製薬会社も似たようなものです。 ・米国の10大軍需産業も、ウクライナ戦争にからむ3000億ドル(42兆円)の増産で、利益を得ています。 普通に考えれば、パンデミックや戦争は、それで巨大利益を受ける側が政党と政治家を通じて、関与しているでしょう。 ■6.米国経済の金融化 1990年から経済の金融化(=証券化)が進んだ米国と日本の金融は、根本が違います。 ・日本では現金の預金が多く(1800兆円)、銀行金融が主流です。 ・米国では、証券の株価総時価が、GDPの2倍以上の60兆ドル(8400兆円)もあって、ノンバンク金融になっています。 日本の銀行マネーの4.6倍が、米国の株式と債券で運用されています。日米の株価の時価総額は1:8です。 GDPは、米国が日本の約4倍ですが、株価は8倍です。米国の1/8のマネーで、日本株を動かせます。米系ファンドが、日本株のポートフォリオを増やして買い越すと、日本株はすぐに上がるということです。 以上が、世界の株式市場の基礎的なところを理解する、前提の知識です。AI予想に勝つことが、現在の株式投資と通貨売買(FX)です。人間は、これくらいのことは知っておかねばならない。 ■7.6月の3週からの日経平均 ◎6月の3週の日経平均は、6月16日(金)の3万3670円をピークにして下げています。今は3万2781円、前日比で483円下げました(6月24日:午前8時)。1週間上げてきた相場に、「小さな異変」が起こっています。異例の動きは、何の前兆か。本稿でここを追求します。 (日経平均 1週の動きを参照) https://nikkei225jp.com/chart/ 6月2日から9日までの週は、海外ファンドが1.4兆円買い越していました。これが、6月9日から16日の週は158億円売り越しています。 (海外投資家 現物+先物の売買) https://moneyworld.jp/news/05_00094961_news 日本人の個人投資家と機関投資家は、23年4月からも、ずっと売り越しています。海外ファンドが買い越すときに、上がってきたのです。海外ファンドが売り越すと、日本株は下がります。この海外ファンドが、4月初旬以来、11週ぶりに売り越したのです。 海外ファンドの買いは、ほぼ40%が現物、60%が先物です。 10週で約5兆円も買い越したうち(1週平均5000億円)、2兆円が現物、先物が累計で3兆円と見ていいでしょう。 先物には、現物にはない「反対売買の限月」があります。このため現物買いは長期(ロング)、先物の売買は、短期です。これから2か月で、約3兆円の、清算売りの超過があるとい見ていい。 ◎今後、「先物の清算売り超過(推計3兆円)<買い越し超過(3兆円以上)」にならないと、日本株は下がります。日本株は、23年6月の3週を起点にして、「微妙な時期」を迎えています。 速断かも知れない。6月の4週、5週を見ればわかるでしょう。4週(金曜日は23日)、5週(金曜日は30日)を見るとわかるでしょう。 ◎株を売買している人は、4月からの上昇でせっかく得た利益を失わないために、これから1、2週間の日経平均の動きを注視する必要があります。 【短期予想】 1)2023年8月までは、暴落(-20%以上)は、たぶんない。  ガイジン買いが止まって、ダラ下がりになるか、 2)買い支えがあって、3万3000円を中心に波動するか、でしょう。 3)6月までの大きな上昇(2か月で25%)は、なくなったと見ています。 その理由は、10週も続いた、異例なガイジンの買い越しが、15週、20週と続くことはないと見ているからです。 ■8.米欧の商業用不動産の価格(2023年8月~) 23年8月頃になると、リモートワークで需要が減った米欧の商業用不動産の下落がはっきりするでしょう。 ◎中小銀行では資産の50%を占める不動産ローンと不動産証券が、米銀の新たな不良債権になっていくでしょう。 23年12月からは、住宅価格の下落が加わっていくでしょう。 株の保有は、ギリギリまで引っ張って、7月末まででしょうか。 ◎2023年12月からは、3月が前兆だった米欧の銀行危機の、本番になる可能性が高いと見ています。 商業用不動産、住宅価格は20%から25%上がると見ています。 不動産価格は、ローン金利の逆指数なので下がる確率が高い。 利上げで上がる不動産はありません。 「賃料-ローン金利」を配当にする米国不動産REITは、不動産価格の先行指標です。2022年6月の353をピークに6月22日は272へと23%下がっています。欧州のREITも、22年5月の11200ピークにして、現在、8800へと米国と同じ22%下げています。(欧州不動産REIT価格指数) https://emaxis.jp/smp/fund/261370.html 東証のREIT指数も、22年9月の2000から1850まで15%下げていますが、東証のREITは不動産価格との連関が、米国より弱い。不動産価格と商業用不動産の賃料の上昇が、米欧より小さかったからです。 米国REITのマイナス23%は、不動産価格の約1年の先行指標になります。米欧の不動産会社の倒産も、2023年8月から始まるでしょう。 欧州の不動産が下がっていくと、金利・通貨スワップなどのデリバティブの所有がもっとも多い大手のドイツ銀行が、危ないかも知れない。 (ブルムバーバーグ:米国不動産REIT価格指) https://www.bloomberg.co.jp/quote/BBREIT:IND ◎不動産の価格は、経済(=インフレによる金利の上昇:22年6月から)の約1年遅れの遅行指標です。遅行の意味は、金利が下がっても、利上げで下がった不動産価格の回復は、1年遅れるということです。 ■9.不動産価格下落は、株価のバブル崩壊になる 不動産までが下がる株価下落は、金融バブルの崩壊です。 日本の1990年と、2008年のリーマン危機と同じです。 ただし、あまり先のことは、言いますまい。 複雑系の株価には、予想できないところがあるからです。 言えるのは、以下の2項です。 1)米欧の不動産価格が下がると、銀行に不良債権が溜まる。銀行は損失をカバーするために、含み益のある株と債券から、売って行く。現金の資金繰りに窮すると、金利の上昇で大きな含み損のある長期国債・長期債を売り、その大きな損失が露わになって、不安を感じた預金の取り付けになり、破産したクレディスイスやファースト・リパブリックバンクのようになって行く。 2)銀行が株を売るとファンドの持ち株も下がり、3ヶ月決算で絶対的に運用利益が必要なファンドは、含み益のある株や債券を売って、価格を下げる。同時に、先物売りでの利益も狙うので株価は二重に下がる。 債券と株の先物買いは相場が上がるとき、先物売りは相場が下がるとき利益が出ます。上がる相場、下がる相場は、その確実な予想ができれば、どちらも儲かります。1990年の日本の株価バブル崩壊は(日経平均3万9800円→2万円)は、米国系銀行とファンドの、先物とオプションの売りから始まったのです。損をしたのは日本人、利益を得たのは外銀とファンドでした。 株や債券では、7000兆円の資金量の米国ノンバンク(ファンド)のように、投入資金が大きいと、買いであれ売りであれ、その売買が相場を動かすので利益が出やすい。 【後記】 海外ファンドが、10週連続で買い越して25%上げ、世界1含み利益のある日本株(20%)はファンドの利益確定のための売り越しに入るでしょう。 ◎東証の70%の売買を占める海外ファンドが売り越せば、日本株は、手もなく下がります。70:30では、対抗ができません。 本稿に書いたような,マネーの流れの過程を経ると見ています。 株価バブルが崩壊すれば、そのとき買いの、大きなチャンスがあります。そのときのために、今、現金のポートフォリオを増やしている個人が多いでしょう。 海外ファンドの売り越しが拡大せずに終われば、こうはならない。 しかし、不動産価格の下落は迫ってきました。7月、8月の株価はどう向かうか? 70%の投資家の予想とは、異なった動きになるでしょう。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源プレミアム・アンケート:感想は自由な内容で。 以下は、項目の目処です。】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲であなたの横顔情報 があると、今後のテーマと記述の際、より的確に書くための参考になります。 コピーして、メールに貼りつけ記入の上、気軽に送信して下さい。 感想やご意見は、励みと参考になり、うれしく読んでいます。 時間の関係で、返事や回答ができないときも全部を読みます。 時には繰り返し読みます。 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