… … …(記事全文1,962文字)令和7年度予算案編成や税制改正の作業が本格化した。
第50回衆議院選挙で敗北し、少数与党となってしまった与党は、国民民主党との議論を始めた。
国民民主党は、
1.消費税率の5%への引下げとインボイス廃止
2.基礎控除を引き上げ、年収の壁103万円を178万円とする
3.ガソリン税のトリガー条項凍結解除
を提案している。
上記が総て実現すると、総計21兆円規模の減税となる。
内訳は、消費税率引き下げが12兆円、基礎控除引上げが7兆6千億円、トリガー条項凍結解除が1兆5千億円だ。
政府が21兆円の減税した分、反対側で国民は21兆円の増収になる。
まさに「手取りが増える」だ。(厳密には1と3は実質賃金を引き上げる)
というわけで、当然ながら財務省を中心に「財源論」による反発が起きているわけだが、実は21兆円の減税政策が、21兆円の減収をもたらすとは限らない。
理由は「税収弾性値」にある。
税収弾性値とは、
「名目GDPが1%上がったときに税収が何%増えるのか」
という数値だ。
財務省は現在、税収弾性値について「1.1」という数値を使っている。 例えば、財政制度審議会の報告書において、「1.1」が「科学的にいい線」として記述されているのだ。
とはいえ、日本に限らず税収弾性値が1.1などということはあり得ない。
例えば、2021年度は名目GDPが3%成長、税収は10.2%も伸びた。税収弾性値が3.41。
2022年度は名目GDPが2.5%成長、税収は6.1%増加。税収弾性値は2.45。
というわけで、過去の名目GDP成長率と税収増減率をグラフ化した。
【日本の名目GDP成長率(%)と税収変動率(%)】
http://mtdata.jp/20241115-1.jpg
週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
三橋貴明(経世論研究所所長)