… … …(記事全文1,898文字)-政策金利と国債金利-
現在、住宅ローンの変動金利は上昇し、固定金利は下落するという不思議な現象が発生している。
理由は何だろうか。
財務省は日本銀行の政策金利引き上げを受け、
「今後は国債金利が上昇する。金利ある世界が始まった」
というレトリックでプロパガンダを展開している。実に奇妙な話だ。
政策金利とは、銀行間決済における日銀当座預金の「一晩の貸し借り」の金利だ。
すなわち、無担保コール翌日物である。
無担保コール翌日物金利は、あくまで銀行間決済の日銀当座預金の金利であり、一般企業や家計には関係ない。
もっとも、無担保コール翌日物金利は、短期プライムレートの基準金利だ。
短期プライムレートは、銀行が優良企業に短期(一年未満)で貸し出す際の金利である。
そして、短期プライムレートは住宅ローンの変動金利の基準金利だ。
7月31日に日本銀行は政策金利を0.25%に引き上げた。
【日本の政策金利と短期プライムレート(%)】
http://mtdata.jp/data_93.html#mutanpo
日本の短期プライムレートは2009年以降、1.475%のまま変動することはなかった。
24年3月のマイナス金利政策解除も、短期プライムレートに影響を与えなかった。
とはいえ、7月の政策金利引き上げにより、短期プライムレートは上昇に転じた。結果、住宅ローンの変動金利も上がる。
もっとも、政策金利、短期プライムレートは国債金利ではない。
週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
三橋貴明(経世論研究所所長)