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週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~

三橋貴明(経世論研究所所長)

三橋貴明

人口と経済成長率の無関係

人口と経済成長率の無関係


人口と経済成長率は無関係である。

厳密には、関係がゼロというわけではないが、経済成長率は「生産性」で決まる。人口が生産性に影響を「与えること」が無いという話ではないものの、「関係がゼロではない」程度に過ぎない。

驚くべきことに、

「人口が減っている国は需要が減少するため、経済成長しない」

という、いわゆる人口ボーナス論(あるいはオーナス論)は、見事なまでに生産性=一人当たり所得を無視している。

一人当たりの所得が「一定」という不可思議な前提に基づいているのだ。

そもそも、需要とは何なのか? もちろん、消費や投資という「支出」の合計である。

例えば、年間所得100万円の国民が100人存在し、消費性向が100%の場合、年間の需要は1億円になる。

その状況から、国民が90人に減った。となると、所得と消費性向が同じ場合、年間需要は9000万円になる。

が、なぜ、年間所得が「一定」という前提になるのか?

国民の数が90人に減ったところで、年間所得が200万円に増え、消費性向が100%の場合、年間需要は1億8千万円だ。

「人口減少=需要減少」論者は、不思議なことに国民の一人当たりの所得が一定という前提に固執する。そんな前提が現実に成立したことはない。

例えば、高度成長期(1970年)の実質GDPは、2000年を100とすると「50」だった。つまりは(人口はたいして増えていない)、実質所得がおおよそ半分だったのだ。

それが、30年後に倍になった。その分(消費性向が変わらないとすると)、需要は実質で二倍になっているはずだ。  

人口など、生産性と比べれば対して増減しない。重要なのは、一人当たりの生産量、つまりは生産性なのである。

理由は、GDP三面等価の原則により、「生産=支出(需要)=所得」になるためだ。人口が減ろうが、生産性が高まれば余裕で需要は増える。

逆に、人口が増えようが、一人当たりの生産=需要が減れば、経済はマイナス成長になってしまう。

例えば、

「人口が100億人で、一人当たり所得(※GDP)100円」

の国のGDPは1兆円で、

「人口が1億人で、一人当たり所得1億円」

の国のGDPは1京円になってしまう。現実の世界は、ここまで極端ではないけど、人口と無関係にGDPの差が産まれている。

人口=経済規模であるならば、現在の世界の国々の経済格差は生まれようがない。

… … …(記事全文2,441文字)
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