… … …(記事全文1,910文字)-日本の解雇規制-
自民党総裁選挙において、労働規制の緩和、特に解雇規制の緩和が争点になりそうである。
まずは、大前提を共有しておきたい。OECD諸国において、日本の労働規制の緩和は、相対的には強固ではない。
むしろ、労働規制が「緩い」グループに入っている。
OECDは、
1.手続きの要件:解雇通知の手続き、解雇通知までに要する期間
2.予告期間・解雇手当:解雇予告期間の長さ、解雇手当金の額
3.不当解雇規制の枠組み:不当解雇の定義、試用期間の長さ、不当解雇の賠償額、不当解雇の際の現職復帰の可能性
4.不当解雇規制の実施:出訴できる期間、申立ての際の証明義務、外部機関による解雇の事前検証、解雇前の失業手当承認方法
の四項目について、それぞれ四分の一に重みづけし、一般個別労働者の「雇用保護指標」を公開している。
【OECD雇用保護指標一般労働者 個別解雇2019年】
http://mtdata.jp/20240913-1.jpg
図の通り、OECD諸国において、最も解雇規制が厳しいのはチェコである。逆に、最も緩いのがアメリカ。
日本の数値は2.1で、OECD平均である2.26よりも低い。
つまりは、
「日本の解雇規制は国際的に厳しい」
といった言説は明確な「嘘」ということになる。
週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
三橋貴明(経世論研究所所長)