… … …(記事全文8,401文字)まず、3月2回目の刊行が3月31日の日付に間に合わなかったことを深くお詫びします。
今回は、前回刊行した「溶解するアメリカの金融市場」の続編とお考えいただきたい内容で、アメリカ経済全体が重大な金融危機に刻一刻と近づく中、アメリカの一般国民はどう対応しようとしているのかに焦点を当てたいと思います。
● 異常なほど「いつも絶好調」のS&P500株価指数
自力で分散型のポートフォリオが組めるほどの大富豪を除けば、アメリカ国民の多くが、この前途多難な時代に株というリスクの高い金融商品にしがみつこうとする最大の理由は「インデックス投資信仰」とでも呼ぶべき心理状態です。
つまり、どんなに市況が悪くなってもアメリカ経済全体を代表するような株価投資し投資していれば、数年のうちに確実に損失を取り戻しておつりが来るようなパフォーマンスをしてくれるという考え方です。
その典型がS&P500株価指数ですが、じつは第二次世界大戦後の混乱も過ぎ、世界中に平和が戻ってきた1950年代からは、この指数は実際にインデックス教信者の期待に応えるパフォーマンスをし続けているのです。
このグラフで黄土色に塗り分けた部分がその時点までの史上最高値から5%以内の低下にとどまっている部分です。見た目だけだと、藍色の史上最高値から5%超の値下がりをしている時期とほぼ半々ぐらいという気がします。
これほどパフォーマンスが良ければ、たまに最高値から5%を上回る下げを演じたとしても、3~5年ぐらい我慢して持っていれば必ず値戻しがあって、新しい高値に挑戦してくれそうな気がします。
また、投資をすべきタイイングかそうでないかなどはまったく無関心に、毎月一定額を投じてS&P500株価指数に連動するETF(上場投資信託)を買い増していけば、こちらも安定的に良い利回りを保証してくれそうに見えます。
増田悦佐の世界情勢を読む
増田悦佐(エコノミスト・文明評論家)