… … …(記事全文10,084文字)アメリカの実体経済はじわじわと劣化が進んでいます。しかし、これまでは庶民の日常生活などまったく無視するように好調を維持してきたアメリカの金融市場でも、徐々に見せかけの繁栄の裏に隠された問題点が噴出し始めました。
今回は、虚飾を重ねてきたアメリカ株のブル相場がいかに不自然な「万年好況」を維持してきたかを皮切りに、株式相場の化けの皮が剥がされると、未上場株ファンドやベンチャー・キャピタルはいうまでもなく、国債市場も、それどころか銀行融資まで将棋倒しのように崩れていく可能性が高いことを論証します。
● 株主大衆化の最先端を切っていたアメリカの今
直近のアメリカ株保有主体別内訳を見ると、アメリカではいまだに株式市場時価総額の38%を個人投資家が持っています。
さらに、個人投資家のすぐ下の受け身型投信は、主要株価指数の構成比そのままの株で構成されたバスケットを買い続けていくだけの投資信託で、需要層はほぼ個人に限定されているでしょう。ですから、この8%もふくめると、アメリカの個人投資家は今も時価総額の44%と非常に大きなシェアを持っていることになります。
増田悦佐の世界情勢を読む
増田悦佐(エコノミスト・文明評論家)