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山田順の「週刊:未来地図」
No.748 2024/11/05
「部分連合」政治は機能するのか?
これから起こる最悪なこと(経済崩壊)に備えよ!
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自公与党の惨敗で、衆議院は過半数を占める政党がない「ハングパーラメント」(宙吊り議会)となった。そのため、自公与党政権は、野党の中から躍進した国民民主の政策を受け入れる「部分連合」で経済を運営させざるを得なくなった。
では、実際、どんな政策が行われるのだろうか? すでにいろいろな観測報道が出ているが、はっきりしているのは国民民主をはじめとする野党の政策はほぼすべてがバラマキだということ。財源も明確ではない。
となると、国債増発は必至となり、超円安、物価高、金利上昇、株価暴落という最悪の事態がやってくるだろう。
[目次] ─────────────────────
■自公もバラマキだが野党はそれ以上のバラマキ
■「103万円の壁」引き上げに効果はあるのか?
■補正および本予算で国民民主のバラマキが上乗せ
■政治が経済をコントロールできるわけがない
■石破政権最初の大関門「防衛費増額」問題
■「MMT理論」と「ザイム真理教」というフェイク
■減税財源を国債に頼った英国トラス政権の二の舞
■公務員、政治家ともに数と給料を減らす
■日銀の政策いかんで日本人も円を投げ売り
■アメリカのバブル崩壊を待たずに売りか?
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■自公もバラマキだが野党はそれ以上のバラマキ
「立憲民主党、公明党、日本維新の会とも案件ごとに(協議を)やる。自民党とだけ部分連合するわけではない」
と、国民民主党の玉木雄一郎代表たち幹部は、突然回ってきた役割に有頂天になっている。しかし、どう見ても立民、維新などとは連携するはずがなく、自公に自分たちの政策を高く売り込んで「部分連合」ということになる。
ただし、この「部分連合」という言葉を玉木氏は気に入らず、否定したうえに、「政策ごとの協力、非協力」に拘る姿勢を見せている。ただし、それは、ただの言葉遊びにすぎない。実際は、「自公+国民民主」で政策が決まることになるはずだ。
となると、日本はどうしようもない方向に行くことになる。自民も公明もバラマキ政党だが、国民民主はそれに輪をかけたバラマキ政策しか持っていないからだ。
「手取りを増やす」を打ち出したことで議席数を大幅に増やしたが、どうやってそれを達成するのかの道筋を示していない。
単に、消費税を減税する、社会保険料を引き下げる、生活補助のための補助金を出す、最低賃金を引き上げる、教育を無償化する、などと言っているだけだ。もちろん、立民以外の野党もみな同じだから、どうにもならない。
■「103万円の壁」引き上げに効果はあるのか?
現在、自公との協議で実現しそうなのは、玉木代表がもっとも拘っている、所得税の基礎控除などを103万円から178万円に引き上げる所得税減税である。
いわゆる「103万円の壁」を「178万円の壁」にすれば、パートタイムの主婦やアルバイトの学生の収入が増えるというのだ。しかし、ことはそんな単純ではない。そのすぐ先に「106万円」「130万円」という、社会保険の加入義務が生じるというハードルがある。
また、これは減税政策だから、財務省試算で7.6兆円の減収になり、その財源をどうするのかが問題になる。しかし、それは明示されていない。
7.6兆円という数字は単純試算で、減税効果による消費の伸びなどは含まれていない。だから、その分税収が上がるので大丈夫などと言っている。しかし、それは希望的観測であり、そんなことで政策は実行できない。ほかの政策(たとえばほかの歳費をカット、人員削減、ほかの税金のアップなど)とセットでなければ、効果は薄い。