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山田順の「週刊:未来地図」
No.747 2024/10/29
トランプの追い上げで大接戦!
ただ、どちらになろうと金融バブルは崩壊する
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与党過半数割れで日本の選挙が終わり、次の注目は、なんと言ってもアメリカの大統領選挙。現状は、ハリス対トランプはイーブンか、トランプが巻き返してやや優勢といったところ。どちらが勝つかまったくわからないまま、選挙戦は終わることになりそうだ。
そこで、これまで出ている情報をまとめつつ、今後の経済、市場動向を展望してみる。アメリカ経済は好調とは言うが、金融バブルは膨らみ続け、いつ暴落が来てもおかしくない状態にある。
(写真:NBC News)
[目次] ─────────────────────
■アメリカ経済は好調維持とIMFは判断
■バイデン政権はトランプ前政権より経済は良好
■トランプが追い上げ、ついにイーブンに!
■結局、男性は、女性を大統領にしたくない
■囁かれ出した民主党による「不正選挙」
■トランプのオッズは下がり勝率は60%超え
■10月になってトランプラリーが始まった
■いずれ来る金融バブル崩壊を乗り切れるか?
■すぐに直面する「債務の上限」危機
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■アメリカ経済は好調維持とIMFは判断
10月22日に発表されたIMFの最新の世界経済見通し(World Economic Outlook:WEO)は、アメリカ経済の2024年の成長率を7月に予測した2.6%から2.8%に上方修正した。
先月、FRBは利下げに踏み切り、長引くインフレが収束に向かっていると宣言。IMFの上方修正はこれを受けたもので、その理由として、「実質賃金の堅調な上昇」「資産価値の上昇による消費の高まり」の2つを挙げた。つまり、アメリカ経済は好調を維持しているとIMFは判断している。
ちなみに、中国の2024年の成長率は前回の5.0%から4.8%と0.2%下方修正。ユーロ圏も2024年を前回0.9%から0.8%に引き下げられた。いずれも微減である。
しかし、日本は0.3% と前回の0.7%から0.4%も引き下げられた。もはや、日本は成長できない国になっていると言えよう。
それはともかく、一般的に経済が好調なら、どんな選挙だろうと、現職が強い。アメリカの大統領選挙も、これまでを見るとそうなっている。しかし、今回は違う可能性がある。
■バイデン政権はトランプ前政権より経済は良好
バイデン政権の4年間を経済面で振り返ってみると、GDPは成長し、インフレをなんとか押さえ込み、ほかのG7国と比較したら、バイデン政権はコロナパンデミックの後遺症を上手く克服してきたと言える。
アメリカ経済の主要な指標は、いずれもトランプ前政権を上回っている。GDP成長率、鉱工業生産指数、住宅着工件数、失業率(雇用統計)、子どもの貧困率などは、トランプ時代よりいいのだ。
ところが、なぜかアメリカ国民は、トランプ時代のほうが経済はよかったと思い込んでいる。
『ニューズウィーク』の世論調査では、アメリカ人の46%が、ドナルド・トランプ前大統領がホワイトハウスを去った2021年1月よりも経済は悪化したと考えている。また、『フィナンシャル・タイムズ』(FT)の世論調査によると、トランプ前大統領は、経済運営に対する支持率で民主党候補のハリスを大きく上回っている。
アメリカ人は、実際のデータより、アナウンスに反応するようだ。今回は、現職のバイデンから副大統領のカマラ・ハリスに代わったことで、アナウンス効果が顕著になった。経済運営では、トランプのほうが上と信じ込んでいる国民が多いのだ。
■トランプが追い上げ、ついにイーブンに!
政治サイト『リアル・クリア・ポリティクス』(RCP)の10月25日の集計によると、ハリスとトランプ全米支持率が48・5%で並び、ついにイーブンになった。
RCPによると、全米での支持率はハリスが8月上旬に逆転してから一貫してリードしてきたが、10月に入って差が縮まった。
『NBCニュース』も、10月1週目で、トランプが差を詰めて、両者の支持率は48%で並んだ。
問題は、雌雄を決する激戦7州だが、ここではトランプが僅差だがリードする状況に変わった。2016年の大統領選では、トランプは激戦7州で劣勢だったのに、結果的に逆転した。そのことを思えば、今回のほうが有利と言える。
10月20~23日の『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)の世論調査でも、2人の支持率は48%で並んでいる。ただし、これを男女別に見ると、男性ではトランプ(55%)が14ポイント差でハリスをリードし、女性はハリス(54%)が12ポイント差でトランプをリードしている。
それで、思うのは、やはり男性は、女性が大統領になることを嫌っているのではないかということだ。