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山田順の「週刊:未来地図」
No.743 2024/10/01
ハリスかトランプかを左右する
副大統領候補ウォルズvs.ヴァンスの対決
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アメリカ大統領選挙まで1カ月に迫った。各種世論調査によると、ハリスとトランプの差はほとんどない。となると、副大統領候補のウォルズvs.ヴァンスの戦いが、意外にも大きく影響する可能性がある。
この2人は、10月1日夜(日本時間、翌10月2日午前10時)に、テレビ討論会(CBSが放映)で対決する。
そこで、2人のプロファイオを比較してみると、あまりに大きな違いがあることに、改めて驚く。すでに一部の州で期日前投票が始まったが、はたして結果はどうなるだろうか?(写真:TBS NEWS DIG)
[目次] ─────────────────────
■世論調査ではウォルズが大きくリード
■アメリカの副大統領は単なるNo.2ではない
■「中西部のお父っさん」パワーに期待
■州兵、高校教師から下院議員、州知事に
■「ウルトラライト」vs.「ウィヤード」
■エリートでありベストセラー作家
■計算づくで“ミニトランプ”になったのか?
■出世の階段を上るに連れ無宗教になる
■インド系の妻を持つヴァンスがハリス攻撃?
■模擬討論会でトレーニングをしたうえで登壇
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■世論調査ではウォルズが大きくリード
トランプが拒否したため、大統領候補同士の討論会の可能性は限りなくゼロになった。そのため、今回行われる副大統領候補同士の討論会が、民主、共和、両陣営最後の直接対決となるのは間違いない。
討論会はニューヨークのCBS放送センターで行われ、観客はなし。討論時間は90分間で、2回の休憩を挟むことになっている。
ティム・ウォルズ(60)vs. J・D・ヴァンス(39)。2人とも副大統領候補に指名されるまで、全米的にはそれほど知名度が高くなかったため、おそらく今回の討論会で、多くの国民はその素顔を初めて知ることになる。
はたして、どちらが勝つか? いまのところ、まったく、不明と言うほかない。
ただし、選挙サイト「FiveThirtyEight」(ファイブサーティーエイト)が集計している各種世論調査結果の「純支持率」(支持率から不支持率を差し引いたポイント)は、ウォルズがプラス3.7で、ヴァンスはマイナス11.0。
ヴァンスは圧倒的に不人気である。これを得意の挑発弁舌で巻き返せるかどうか? 受けて立つウォルツがこれをうまく交わせるかどうかが焦点だ。
■アメリカの副大統領は単なるNo.2ではない
アメリカの副大統領というと、「もっとも不要な職業」と揶揄されることが多いが、実際はNo.2の権力者であり、極めて重要なポストである。
選挙戦では、「ランニングメイト」(伴走者)と呼ばれるように、大統領とセットで投票する有権者は多い。
合衆国憲法は、大統領が死亡や辞任などによって不在となった場合、副大統領が大統領に昇格することを定めている。実際、そうした例は多い。日本から見ると、たとえば原爆を落としたトルーマンはルーズベルトの死去により副大統領から昇格している。
ただし、トルーマンは大統領に昇格するまで、原爆が完成していることを知らされていなかったという。
とはいえ、今回のハリスvs.トランプのような接戦になると、やはり副大統領候補は重要だ。だから、両陣営とも激戦州(スイングステート)を意識して、ランニングメイトを選んだ。ただし、両者ともメディアが予想した候補ではなかった