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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.741:自民総裁選、立民党首選-----日本の政治に絶望するしかないこれだけの理由


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            山田順の「週刊:未来地図」                 

                          No.741 2024/09/24

                   自民総裁選、立民党首選-----

      日本の政治に絶望するしかないこれだけの理由

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 今日まで自民総裁選候補の演説、討論会を見聞してきたが、真剣味も危機感も感じられなかった。立憲民主の党首選も同じだ。

 これではAIに政治をまかせた方がいいのでは?と思うほど、日本の政治は堕落してしまった。

 なぜ、こんなことになってしまったのか? 今回は、私が思うところをランダムに書いてみたい。

 いずれにせよ、自民党の新総裁は9月27日(金)に決まる。その後、どの時点で総選挙になるかは新首相の意向次第だが、それによって日本が変わることはないだろう。

                              (写真:NHKニュース)


[目次]  ─────────────────────

 

■野田佳彦を党首に選ぶ立民の時代錯誤

■自民支持層の人気で高市、石破の後塵を拝す

■なぜ小泉進次郎はここまで失速したのか?

■「解雇規制」の緩和を言い出して猛批判

■規制が大きいほど国は確実に貧しくなる

■高市早苗躍進の理由は「保守」本流?

■絵空事の国防論と社会主義的な経済政策

■保守とリベラルの区別がつかない日本政治

■与野党とも候補者の政策論争は無益

■民主主義がなにかをわかっていないメディア

■AI導入によって政治家が必要なくなる?

■日本が本当に変わるときは来るのか?

 

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■野田佳彦を党首に選ぶ立民の時代錯誤

 

 岸田文雄首相(67)が退任表明したことで、日本は大きく変わる節目のときを迎えたと、一瞬だが思った。しかし、それは思い違いに過ぎなかった。

 今日までの経過を見ていると、日本は変わりそうもない。昨日までと同じ明日を続け、じょじょに衰退していくだけだろうと思う。

 

 まったくどうしようもないのは、立憲民主党である。9月23日、なんと党首選で野田佳彦(67)を選んだのだから、その時代錯誤ぶりは度が過ぎている。もちろん、これで政権交代は「絵空事」に過ぎなくなった。

 

 野田佳彦という“ドジョウ”に、なぜ日本国民はまた付き合わなければいけないのか。これでは完全に「昔の名前で出ています」だから、自民党の新総裁(新総理)が誰になろうと勝ち目はないだろう。

 

 立民は「女性候補もいます」というアリバイづくりのための“出来レース出馬”だったとはいえ、吉田晴美(52)が代表になったほうが大化けが期待できただけに、まだマシだった。シンガポール航空のCAが万が一にも、首相になるかもしれないのだ。

 すべては、未来に期待が持てるかどうか?である。私は、キャリア、見識、人柄、政策など、この国ではいくら吟味しても仕方がないと思っている。

 

■自民支持層の人気で高市、石破の後塵を拝す

 

 それにしても、自民総裁選候補9人が出揃ったときは、若い小泉進次郎(43)でほぼ決まりではないかと思った。国民人気ならダントツなのだから、「統一協会」「裏ガネ問題」をうやむやにして選挙で勝つには、人気者に頼るしかない。しかも、彼の夫人は、滝川クリステル(46)である。

 イメージなら、これほど自民党が変わった、日本が変わったと、アピールできる存在はいない。

 

 ところが、あろうことか、その後、小泉進次郎は大きく失速した。共同通信が9月15、16日に実施した電話調査で、誰が新しい総裁にふさわしいと思うかと自民党支持層に質問したところ、なんと高市早苗が27.7%でトップに躍り出たのだ。続いたのが、石破茂で23.7%。小泉進次郎は19.1%と3位に転落してしまった。

 

 これを受けて、『自民党総裁選、小泉氏の支持に陰り』(日本経済新聞)『小泉進次郎氏、まさかの伸び悩み?』(毎日新聞)などと、大手メディアが小泉の失速ぶりを一斉に報じ、この流れはいまも続いている。

 

■なぜ小泉進次郎はここまで失速したのか?

 

 出馬会見はよかった。カンペを見て、練習していた予想問答をそつなくこなした。とくに、「知的レベルが低いのでは」という質問は、うまくかわして高評価を得た。

 しかし、その後がいけなかった。テレビ出演や公開討論会で、トンチンカン、見当違い発言を連発し、人気が下降していった。

 いまさら、それを列記しても仕方ないが、以下、代表的なのを3つ書いておきたい。

 

●「大学に行くのがすべてではない」(奨学金返済をめぐる質問に対しての答え。「論点がずれている」との指摘)

●「菅さんであろうと誰であろうと選挙になったら応援してくれたらいちばん有り難いですよ」(「菅義偉氏を慕う人たちはある意味「派閥」ではないか?」という質問への答え。派閥に関して聞いているので、これも論点とは無関係)

●「カナダのトルドー首相が43歳で就任したが、私は、いま43歳だ。だから、43歳総理就任というトップ同士が胸襟を開き外交を切り開いていく」(「来年カナダで開催されるG7で何を発信するのか」という質問の答え。年齢など聞いてもいないのに、この答え)

 

 俗に「進次郎構文」とか「進次郎ポエム」とか言われているが、この3つはたしかにそう言えるだろう。しかし、これ以外の「中国には行ったことがない」などのいくつかの発言は、確かめたところ“一部切り取り”が多く、それに対する批判がSNSで拡散している。それを思うと、「構文」も「ポエム」も、私には大きな問題とは思えない。

 

■「解雇規制」の緩和を言い出して猛批判

 

 いずれにせよ、小泉進次郎の評価は、「未熟者」「無能」「地頭が悪い」「ただのお坊ちゃん」「総理などとうてい無理」ということになってしまった。

 それに拍車を掛けたのが、政策に対する批判である。

以下の4点は、とくに評判が悪く、自民支持層からもメディアからもブーイングの嵐となった。

 

●「労働者全員を厚生年金に原則全員加入させる」改革。

●「選択的夫婦別姓」の法案提出。

●「ライドシェア」の全面解禁。

●「解雇規制」の緩和。

 

 この4点とも、彼は「首相になったら1年以内に絶対やる」と言い切った。これを聞いて私はなかなかではないかと思ったが、メディアも専門家も、一気に批判に転じた。

 この小泉政策のなかで、もっとも評判が悪く、猛批判を浴びたのが、「解雇規制」の緩和である。日本記者クラブ主催の公開討論会では、他候補から異論が相次ぎ、小泉はタジタジとなる始末だった。

… … …(記事全文8,114文字)
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