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山田順の「週刊:未来地図」
No.670 2023/10/17
メディアはなぜ「朗報」と言わないのか?
2030・34札幌冬季五輪招致“大失敗”の裏事情
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2025年大阪万博が、“世紀の大失敗”に終わる可能性が高まるなか、10月11日に、「2030年札幌冬季五輪招致断念」のニュースが伝えられた。そしてすぐに「2034年を模索」と変更が加えられたが、結局は断念に追い込まれた。これで、札幌の冬季五輪開催は完全に消滅した。
札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)は、とんだ醜態をさらしたことになるが、この“大失敗”を追及するメディアはなく、五輪開催消滅が市民、国民にとって「朗報」と言わないのだから、どうかしていないだろうか。
なぜ、こうなったのか? 冬季五輪開催が迷走する裏事情をレポートしたい。
[目次] ─────────────────────
■開催の消滅に「残念です」だけでいいのか?
■開催を巡り札幌とJOCが迷走した3日間
■秋元&山下はIOCの方針を知らなかったのか?
■幻となった「2030札幌内定」スクープ報道
■1年間にわたる「啓蒙活動」の結果は?
■国民の怒りを買った「東京2020」不祥事
■ボッタクリIOCにとって札幌は“いいカモ”
■「五輪憲章」を変えてまでボッタクリを継続
■内定取り消しで「招致活動の休止」を宣言
■「温暖化対策」が進んでいないことも原因
■なぜスウェーデンは2030年に立候補したのか?
■温暖化は札幌に次の「悲報」をもたらす
[冬季五輪にも温暖化問題、札幌のみ今世紀末に再開催可能=研究]
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■開催の消滅に「残念です」だけでいいのか?
あまりの迷走、醜態ぶりに目を覆いたくなったが、札幌冬季五輪がなくなったことは、本当に「朗報」である。札幌市民にとっても、日本国民にとっても、こんな喜ばしいニュースはない。
それなのに、メディアの報道を見ていると、これを「朗報」として伝えたところはない。テレビのニュースショーのコメンテーターたちも、誰1人「よかったですね」とは言わず、ただ「残念」としか言わなかった。
大阪万博にしてもそうだが、メディアの旧来の「お祭り報道」「ご祝儀報道」、そして「忖度」が、いかに日本を間違った方向に導いてきたか、そして、市民、国民の不利益を生んできたか、もう目が覚めなければいけないと思う。
それにしても、札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)は、ひどすぎる。これまで、市民、国民の意向を無視して招致活動を行い、それが失敗すると、「申し訳ない」の一言もない。