━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.673 2023/06/20 NYも東京も株価上昇が止まらない。 しかし、もうパーティを切り上げるときでは? ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20230620090000110477 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-110390.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ これまでの経済常識から言うと、現在の株価上昇は考えられない。たとえばアメリカはインフレで、FRBは毎月のように金利を引き上げてきた。日本もインフレなのに金融緩和を続行し、経済低迷から円安が進む一方になっている。これで、NY株も、日経平均も、上がり続けているのだから、経済学のテキストはみな間違っていることになる。 私は投資家ではないうえ、単なる経済ウオッチャーに過ぎないので、ポジショントークなどする必要がない。それでも、なにか嫌な予感がする。もうそろそろ、パーティは終わりにして、「お先に----」と、引き上げたほうがいいのではないだろうか? [目次] ────────────────────────────── ■金利が上がっても下がらないNY株価 ■日経平均の上げは外国人買いがもたらした ■ドル換算日経平均はたいして上がっていない ■チャートで見る株価下落の3パーターン ■株価下落はどんなとき?過去に学べるか? ■“適温相場”はもはや限界ではないか? ■日経平均上昇を裏付ける経済はあるのか? ■欲望に基づく資本主義の限界が見える ■気候変動が株価に大きく影響する ────────────────────────────────── ■金利が上がっても下がらないNY株価 NYダウは先週末の6月16日、それまで続いてきた上げが一服して、前日比108ドル安の3万4299ドルで取引を終えた。 2021年から新たに連邦の祝日となった「Juneteenth」(ジューンティーンス)が6月19日のため、先週末からは土日月の3連休。それを控えての調整売りで終わったと言える。 ちなみに、ジューンティーンスは、ジューン(6月)とナインティーンス(19日)を繋げたもの。この日は、1865年にテキサス州で発令された奴隷解放宣言の日。リンカーン大統領が1862年に奴隷解放宣言に署名してから3年後、初めて奴隷解放が実現した日という。 3連休前の一服感があったとはいえ、これまでNYダウは、昨年9月に付けた安値から約20%も上昇した。ナスダックも、昨年3月以来の高値水準をクリアした。この間、FRBはFOMC(連邦公開市場委員会)において、10回連続で利上げしてきているのに、株価上昇のパーティは終わる様子がないのだ。 どんな経済学のテキストにも、「金利上昇は株価を引き下げる」と書いてあるが、そうはならなかった。先週の上昇に関しては、議会の債務上限問題が解決したこと、今回のFOMCでFRBが利上げを見送ったことがあるとされるが、景気の動向は変わっていない。 アメリカの消費者物価指数は11カ月連続で前年同月を上回っており、インフレは続いている。企業実績も、目立ったものはない。株価上昇を牽引したのは、半導体のエヌビディアやEVのテスラなどの大型株というが、エヌビディアにいたってはバイデン政権の対中輸出規制により最大市場の中国を失うというのに上がり続けてきた。 ■日経平均の上げは外国人買いがもたらした… … …(記事全文7,398文字)