━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.671 2021/06/06 日本外交が見事にハマった 「グローバルサウス」支援という時代錯誤 ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20230606090000109938 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-109853.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 近頃、「グローバルサウス、グローバルサウス-----」と本当にうるさい。先のG7広島サミットでは、日本はグローバルサウスを主要テーマにし、インド、ブラジルなどを招待。さらに、今月1日には、政府は外交戦略として、グローバルサウスへのインフラ支援を決定した。こうしたことと合わせるかのように、メディアもグローバルサウスという言葉を、いま頻繁に使っている。 しかし、グローバルサウスと言われても、ほとんどの人が知らない。知っていても、それがどこを指すのかもわかっていない。 そして、この点が最大の問題だが、なぜいまグローバルサウスに注目し、日本が率先してグローバルサウスの国々を支援しなければならないのだろうか? 今回は、この問題を徹底的に考える。 [目次] ────────────────────────────── ■途上国をグローバルサウスと言い換え ■G20インドネシアではっきりしたこと ■なぜグローバルサウスに飛びついたのか? ■グローバルサウスとの橋渡しが日本の役目 ■西側にもロシア側にもつかない両天秤政策 ■実質的には大失敗だったG7広島サミット ■やはり誰も知らないグローバルサウス ■日本に確固たる“覚悟”“信念”があるのか? ■今の日本に他国を支援・援助する力はない ────────────────────────────────── ■途上国をグローバルサウスと言い換え 日本政府は6月1日、「経協インフラ戦略会議」を首相官邸で開き、2025年までの「インフラシステム海外展開戦略」を改定した。その中身は、相も変わらない新興国・途上国へのインフラ支援の強化である。 その詳しい内容は、首相官邸HPにアップされているので省くとして、内容を簡単にまとめた朝日新聞記事のタイトルは、こうなっていた。 『インフラ輸出戦略を改定 「グローバルサウス」への支援を明記』(6月1日配信) このように、最近のメディアには、グローバルサウスと言う言葉を頻繁に使っている。 朝日記事によると、政府の支援対象となるのは、東南アジア、太平洋島嶼、南アジアの3地域で、《東南アジアは「現地に相当程度の産業集積がある」と指摘。「公的金融機関や官民ファンドも連携し、サプライチェーン、デジタル・イノベーションなどへの投資を強化する」というから、日本政府の頭の中にあるグローバルサウスというのは、東南アジア、太平洋島嶼、南アジアの3地域にある国々を指すようだ。 それにしてもなぜ、政府もメディアも、グローバルサウスという言葉を頻繁に使うようになったのだろうか? 1年前まで、グローバルサウスなどという言葉は、政府文書にも、メディアの記事にも登場したことはなかった。それが、先のG7広島サミットでは、岸田首相から閣僚まで、何度もこの言葉を繰り返した。 ■G20インドネシアではっきりしたこと… … …(記事全文6,489文字)