━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.670 2023/05/30 食料危機は本当なのか? 食料自給率38%を煽る日本政府の欺瞞 ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20230530090000109658 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-109573.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本の食料自給率が38%と低いことが、政府やメディアによって盛んに問題視されている。ウクライナ戦争、気候変動により、食料危機が叫ばれているいま、食料自給率を高めるべきだというのだ。 しかし、食料自給率と食料危機は関連しない。食料自給率を上げることに、それほど意味はない。それより、日本がすべきことは、食料安全保障という観点から、食料政策を見直すことである。そして、気候変動対策を積極的に行うことだ。 [目次] ────────────────────────────── ■食料自給率と食料危機は関連しない ■農林水産省の自給率アップキャンペーン ■世界人口の約4割がまともな食事をとれない ■ウクライナ戦争が食糧危機を招いた? ■最大の原因は地球温暖化による「気候変動」 ■日本は楽観ムードだが世界では暴動も ■やがて落ち着くという「過去の教訓」 ■農産物の輸入額がGDPに占める割合が1割 ■台湾有事でシーレーンが遮断される場合 ■食料安全保障では日本は世界第9位 ■世界でも低い食料自給率38%のカラクリ ■「減反」政策により自ら自給率を引き下げ ────────────────────────────────── ■食料自給率と食料危機は関連しない 誰もが知るように、日本の食料自給率は低い。4割に満たない38%である。そのため、この数字が政府やメディアで強調されるたびに、私たち国民は、もし食料が輸入できなくなったらどうしたらいいのか? という不安に苛まれる。 ウクライナ戦争はもとより、それ以前から続いてきたコロナ禍、世界的なインフレと、食料危機の原因はいくつもある。さらに、最近は気候変動の激化で、農産物の不作が続いている。 こうなると、食料危機が現実のものとなるのでは?と思ってしまう。そして、なんとか食料自給率を上げなければと考えてしまう。 しかし、冒頭からはっきり書いてしまうと、日本は、いくら食料自給率が低いからといって、食料危機に陥ることはありえない。食料自給率と食料危機とはなんの関連性もないからだ。 ■農林水産省の自給率アップキャンペーン 食料自給率が低いことを問題視しているのは、主に農林水産省である。農林水産省は、以前から、日本の食料自給率が低いことを強調し、これを引き上げることを提唱している。大手メディアも、それに乗っかり、「日本は食料安全保障のために自給率を引き上げるべきだ」と言っている。… … …(記事全文8,717文字)