━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.665 2023/04/18 「温暖化敗戦」確定か! 「GX推進法案」は原発推進でエネ転換は先送り ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20230418090000108051 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-107974.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ G7の環境サミットで、EVの数値目標や石炭火力の廃止時期が決まらなかったことで、主要メディアは「日本の立場が受け入れられた」と言っている。しかし、そんなことに安堵していていいのだろうか? 現在、開かれている国会では、日本の脱炭素、地球温暖化対策を決定づける「GX推進法案」が間もなく成立する。しかし、その内容は、これで本当に「2050年カーボンニュートラル」が達成できるのかと思わせるひどいものだ。 主要メディアは批判しないが、これでは日本の「温暖化敗戦」は決定的ではないだろうか。温暖化問題は、いまや経済問題となり、世界経済は「気候経済」(気候変動に対応した経済)に移行している。 [目次] ────────────────────────────── ■G7はEV、石炭火力、原発で日本を容認 ■日本は脱炭素に「非協力国」「ゴネ国」 ■「GX」は日本の造語で国際的に通用しない ■原子力関連を含め5つを束ねた“束ね法案” ■そこまで原子力発電に頼っていいのか ■すべての前提となる国連の「評価報告書」 ■「炭素税」を「賦課金」として本格導入 ■韓国や中国よりも遅れた「排出権取引」 ■日本は国連の警告に対して真剣でない ■国債を財源とし経産省がすべてを仕切る ■G7でただ1国違う方向に向かっている ■気候経済に対処しないと「失われる半世紀」に ────────────────────────────────── ■G7はEV、石炭火力、原発で日本を容認 4月16日、札幌市で行われていたG7環境サミット(気候・エネルギー・環境相会合)が閉幕し、共同声明が発表された。G7環境サミットは、今後の世界の地球温暖化対策をリードしていくものとして毎回注目されてきたが、今回は取り立てて成果はなかった。 焦点とされた、自動車分野でのCO2削減で、EVなどのZEV(ゼロエミッション車)の数値目標は盛り込まれず、石炭火力の廃止時期も明記されなかったからだ。 採択された声明は、自動車分野のCO2削減に関しては、2000年比で2035年までに50%削減することが決まった。これは、日本車が世界をリードするHVを含めた削減目標だから、EV一直線政策を進めるドイツを含めた6カ国が日本に譲歩したかたちになった。 石炭火力発電においても、6カ国は日本に廃止時期を明言することを要求したが、ドイツがウクライナ戦争のとばっちりで一時的に復活させたこともあって、「段階的削減」にとどまった。 もう一つ、もっとも注目された原子力発電についても、日本は推進することへの理解を引き出した。 こうしたことを受けて、日本の報道は歓迎、安堵ムード一色になった。主要メディアのなかには、「外交的勝利」と報じたところもあった。… … …(記事全文9,196文字)