━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.658 2023/03/06 いまさらなにが経済安全保障か。 中国が先端技術で世界を断然リードの衝撃! ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20230307090000106352 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-106307.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先週の報道「先端技術では中国が44項目中37項目でアメリカをリードしている」は、各方面に衝撃を与えた。すでに研究論文数で中国が世界一になっているとはいえ、日本はまだまだ認識が甘い。そこを突かれた感じだ。 防衛費の増強だの経済安全保障だのという議論は、この事実の前に意味を失う。 もはや、日本が「技術立国」というのは過去の話。いまや、世界の4軍に過ぎない。 [目次] ────────────────────────────── ■44項目中37項目で中国がアメリカをリード ■日本は韓国以下の4軍。守るべき技術なし ■中国の優位は繰り返し報告されている ■2017年、国際特許数でアメリカを追い抜く ■デジタル時代にふさわしい実用技術中心 ■AIでは中国に対抗できないと訴え退任 ■AIによる「自律型致死兵器」の倫理問題 ■どうする先端技術4軍国家ニッポン! ────────────────────────────────── ■44項目中37項目で中国がアメリカをリード 3月2日、有力メディアがいっせいに伝えたオーストラリアのシンクタンク「ASPI」(豪戦略政策研究所)のレポートの衝撃は、かなりのものだった。あの朝日新聞までもが、「日本には守るべき技術がなくなっている」という専門家のコメントを載せ、安全保障の危機を伝えたからだ。 ASPIのレポートは、AIや防衛、環境などの分野に関連した先端技術について、「中国が44項目中37項目でアメリカをリードしている」というもの。発表された研究論文の引用数、特許取得の状況などからの結論で、44項目はミサイルに応用される極超音速技術や、次世代通信規格「6G」を含む通信技術のほか、燃料電池といった環境技術など多岐にわたっている。 このなかで、アメリカが1位をキープできたのは、先端半導体関連、AIの自然言語処理、量子コンピュータ、ロボティクス、ワクチンなどの分野における特定技術の計7項目のみ。ほかの32項目で2位となり、中国の後塵を排している。 最悪なのは、たとえば安全保障に直結するドローンの技術。中国は、ドローンが群れで攻撃する「群集無人機」に必要なロボット技術でアメリカをリード。群集無人機を防御する電磁パルスの技術においては、世界トップ10の研究機構のうち7機関が中国にあるという。 ■日本は韓国以下の4軍。守るべき技術なし アメリカが中国に遅れを取ったこともそうだが、日本にとってもっと衝撃的なのは、日本の先端技術が世界からはるかに遅れてしまったことだ。 中国とアメリカ以外の国の5位位内に入った項目数を見ると、次のようになっている。… … …(記事全文5,879文字)