━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.654 2023/02/21 最有力候補ディサンティスと次期大統領選挙 (2) ミニ・トランプか? それともリアリストか? ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20230221090000105834 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-105794.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先週に続いて、次期アメリカ大統領選の最有力候補と目されているロン・ディサンティス(Ronald Dion DeSantis、44歳)の素顔と動向に迫ってみる。 現在、彼はトランプ前大統領とは完全に仲違いしているが、かつては忠実な支持者、政策フォロワーだった。そのため、「ミニ・トランプ」と呼ばれもした。しかし、それは選挙に勝つための方策であり、本来は現実重視のリアリスト(現実主義者)という見方もある。 ただ、これまで彼が行ってきたことは、アメリカが抱える問題点を浮き彫りにしているので、今回は、そこを深掘りしてみたい。 [目次] ────────────────────────────── ■“言いたい放題”、“やりたい放題”の破壊者 ■ポピュリズムでアメリカ、共和党を乗っ取る ■「ミニ・トランプ」「頭の切れるトランプ」 ■とうとうコロナ規制を永久に停止 ■「マスクの着用は児童虐待だ」 ■「ワクチン懐疑論」からメーカーを提訴 ■不法移民を「聖域都市」に送りつける ■なにも知らされずに着いた所はセレブの島 ■「ゲイと言ってはいけない法案」を制定 ■LGBTQ、人種差別を子供に教える必要はない ■ディズニーと戦争状態に突入 ■妊娠中絶の権利を女性から剥奪 ■大企業を叩くのは単なる人気取りか? ■現実主義者としてアメリカを運営する ────────────────────────────────── ■“言いたい放題”、“やりたい放題”の破壊者 仮に世界が新型コロナウイルスのパンデミックに襲われなかったら、トランプはバイデンに勝って再選を果たしていたに違いない。なぜなら、コロナ禍が顕在化する直前の2020年1月時点で、アメリカの経済は、就業者数がトランプ政権発足以来約700万人増加し、失業率は3.5%まで下がるという、空前の好景気となっていたからだ。 とはいえ、トランプは、暴言、失言、トンデモ発言を連発する“言いたい放題”、“やりたい放題”の大統領だった。そうして、民主党のリベラルから共和党の穏健派まで怒らすことばかりやり、最後は議会襲撃事件まで起こして、民主主義を破壊してしまった。 トランプはともかく、“破壊者”だった。 外交では、TPPを離脱し、中国との貿易戦争を激化させ、パリ協定から離脱して温暖化を放置、国連を無視して大使を引き上げた。さらに、NAFTAの協定内容の見直しを行い、NATOや日本には軍事費の増額を要求し、北朝鮮の“ロケットマン”とは実りなきパフォーマンス首脳会談までやってのけた。このどれもが、世界を混乱させた。… … …(記事全文9,397文字)