━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.651 2023/01/31 なぜ倒産させないのか? 若者を食い物にして生き残る日本の大学 ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20230131090000105001 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-104970.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1、2月は受験シーズン。すでに大学入学共通テストは終わり、各大学の一般選抜試験が始まっている。合格発表は今月末だ。テレビ報道で、受験生の試験会場に行く姿、インタビュー姿を見るにつけ、胸が痛む。なんで、こんな馬鹿げたことが続いているのかと、怒りさえ覚える。 すでに日本の大学は、あらゆる面で崩壊している。少子化の影響もあるが、教育内容が時代にまったく合っていない。そのうえ、経営を成り立たせるために、若者たちを「奨学金」という名でごまかした学生ローンで借金漬けにしている。 [目次] ────────────────────────────── ■あいも変わらぬ受験シーズン報道 ■どんどん進んでいる「入試」離れ ■18歳人口が減っているのに大学数は増加 ■私立大学の約4割は赤字で破綻確実 ■経営破綻を逃れるための生き残り術 ■奨学金は返済義務のある単なる借金 ■大学生活の費用はいったいどれくらいか? ■滞納するとブラックリストに載ってしまう ■なぜ少子化なのに大学を減らさないのか? ■小手先の入試改革など意味なし ────────────────────────────────── ■あいも変わらぬ受験シーズン報道 報道によると、1月14日、15日に実施された今年の「大学入学共通テスト」(以下共通テスト)は、トータルで711大学が参加した。内訳は、国立の82大学、公立の94大学と、私立の535大学。国公立は100%だが、私立は89%の参加に止まった。 これは、以前のセンター試験の時代と比べて、受験の仕方が変わってきたからだ。その背景には、種々の問題があるが、それは後で説明したい。 ともかく、今年の共通テストは終了し、いまは一般選抜試験に突入、受験シーズンはピークを迎えている。この先、受験生は合否が発表される今月末まで、悶々とした日々を送らねばならない。しかし、晴れて志望校に合格したからといって、未来が開けるわけではない。 毎年、受験シーズンの報道はおざなりで、ほぼ年中行事。雪が降って電車が遅れると「大変だ」と言って、試験会場に駆けていく受験生の姿を映す。そうして、何人かにインタビューして感想を聞いている。 そういうテレビ画面を見て、いまの若者たちは本当にかわいそうだと思うのは、私だけではないと思う。なにも考えていない人間は、昔とさほど変わらない受験シーズンの光景を、ひとつの風物詩と捉えるかもしれない。しかし、いまその風物詩は崩壊寸前だ。 ■どんどん進んでいる「入試」離れ 私は、かつて教育関連書籍を編集したことがあり、大学教師、教育評論家、大学ジャーナリストに知己が多い。彼らの話を総合すると、今年の共通テストの最大の傾向は、国公立大と併願しない私大専願の受験生に、共通テストを受けない者が増えていることだという。… … …(記事全文6,632文字)