━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.646 2022/12/27 ゼロコロナ失敗で中国経済大減速! どうなる?「米中対立」と「中国デカップリング」 ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20221227090000103391 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-103391.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本では、ゼロコロナ政策を大転換した中国の状況を揶揄した報道が多い。感染者が激増して経済活動にブレーキがかかり、このままでは回復は難しいと盛んに喧伝されている。それでなくとも、「米中対立」(新冷戦)は激化し、企業の「脱中国」(中国デカップリング)の動きも加速している。 はたして来年、中国はどうなっていくのか? 日本で言われているように、衰退が間違いないなら、その影響をもっとも受けるのは日本にほかならない。 [目次] ────────────────────────────── ■「ゼロコロナ政策」をやめたら感染爆発 ■減速に追い打ちをかけたロックダウン ■中国経済が抱えている3つの問題点 ■ますます対中強硬策を強めるアメリカ ■激化する先端半導体をめぐる米中戦争 ■米日蘭の「半導体3国同盟」のダメージ ■財の輸出額に占める中国のシェアは上昇中 ■内製化した世界の工場と欧州を結ぶ鉄道路線 ■日本の中国依存度は世界的に極めて高い ■デカップリングは今後じわじわ効いてくる ■「脱中国」企業数増加、その理由とは? ■とりあえず来年は「楽観論」で5%成長 ────────────────────────────────── ■「ゼロコロナ政策」をやめたら感染爆発 北京の郊外に、日本の半導体大手ルネサスエレクトロニクスの主力工場がある。この工場では、従業員に新型コロナウイルス感染者が相次いだため、16日から19日まで操業を停止せざるをえなくなった。その後、操業は再開したが、現在もなお新規感染者が出ているという。 中国政府が「ゼロコロナ政策」を転換した影響は、日系企業にまで及んでいるのだ。 中国政府が突然、方針転換したのは、全土に広がった抗議デモを抑えきれなくなったからだ。もちろん、「ゼロコロナ」より「ウィズコロナ」のほうが経済は回る。そのため、北京はいつかは方針転換しなければならないと考えていた。 つまり、抗議デモはその格好の機会であり、習近平政権は方針転換の理由を「落ち込んだ景気を回復させるため経済活動を優先する」とした。 しかし、この方針転換は裏目に出た。感染者が一気に増え、会社や工場への出勤者や街の人出は激減してしまったからだ。また、感染を恐れた未感染者は外出を控えるようになった。このため、かえって経済が回らなくなってしまったのである。 この混乱状況を受けて、主要な金融機関は10〜12月四半期の中国の経済成長率の見通しを下方修正した。たとえば、UBSやANZ(オーストラリア・ニュージーランド銀行)は、いずれも2.7%とした。中国の四半期の経済成長率が、ここまで下がったことはここ20年間なかったことだ。… … …(記事全文7,623文字)