━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.645 2022/12/20 日本は再びアメリカの「防波堤」に! 反撃能力確保、防衛費増強はなぜ決まったのか? ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20221220090000103370 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-103372.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 岸田政権の支持率はついに20%台に落ちた。防衛費増強で増税を持ち出したのが、決定的に国民の反発を買ったからである。 それにしてもなぜ、あれほど決断ができなかった首相が、今回に限っては、断固として決断したのだろうか? すでに一部で指摘されているように、日本がアメリカの「属国」だからだ。今回の一連の流れは、戦後の日本がたどった「逆コース」と、まさにぴったり符合する。 [目次] ────────────────────────────── ■防衛費増強、反撃能力はアメリカの意向 ■日米双方のシナリオに沿った出来レース ■なんのための防衛費の増強なのか? ■曖昧にしかできない「反撃能力」とその行使 ■自衛隊はアメリカ軍の東アジア分隊か? ■「チャイナ・ハウス」新設で中国に対抗 ■ローマ帝国の世界支配と同じ構図 ■戦後の「逆コース」同じ道をたどっている ■「日米同盟」で本当に日本を守れるのか? ■注目される来年1月の岸田訪米、首脳会談 ────────────────────────────────── ■防衛費増強、反撃能力はアメリカの意向 岸田政権は12月16日、国家安全保障戦略(NSS)など「安保関連3文書」(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3文書)を閣議決定した。 3文書の最大のポイントは、いまの日本の安保環境が「戦後もっとも厳しい」とし、相手の領域内を直接攻撃する「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」との名称で保有すると明記したことだ。これに伴い、日本は、2023年度から5年間の防衛費を現行計画の1.5倍以上となる43兆円にすることがほぼ決定した。そして、岸田首相は、この防衛費増強の一部を増税でまかなうことを改めて表明したのである。 増税! このインフレ不況の最中に、そんなことを言い出せば、誰だって反発する。案の定、増税発言は、ただでさえ落ち込んできた支持率を低下させたのは、言うまでもない。 最低は毎日新聞の25%、時事通信は29.2%、高めに出るFNNでも37%まで落ち込んだ。もはや、内閣がすっ飛んでいいレベルである。 ここまで統一協会問題、閣僚の不祥事、歯止めがからないインフレなどで落ち込んできた支持率を、なぜ、落ちるとわかりながら、増税にこだわったのか? あれほど決断できないと批判された岸田首相が、なぜ、防衛費増強に関してだけは即断即決できたのか? その答えは、もはや書くまでもない。アメリカの意向だからである。 ■日米双方のシナリオに沿った出来レース… … …(記事全文6,974文字)