━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.644 2022/12/13 防衛費増額はだけでは日本は守れない。 なぜ、日本の防衛はここまでダメになったのか? ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20221213090000103072 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-103082.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「反撃能力」の保持、そして、「防衛費」の増額をめぐって、与党内も国会全体も大荒れだ。メディアの報道も一貫していない。すでになにもかもが決まっているかのように報道されているが、国防議論自体があまりにも絵空事であり、しかも議論の順序が逆だ。 どうやって日本を守るのか、その具体的な方策が明確でないままの増額にどんな意味があるのか? そこで、今回は、現在の日本の安全保障、防衛について、いったいどうして、こんなお寒いことになってしまったのかを考えてみたい。 [目次] ────────────────────────────── ■アメリカ全面依存の安全保障は通用しない ■財源が明確でない増額に国民は猛反対 ■「反撃能力」保持なのに「専守防衛」維持? ■抑止力としての核保有まで踏み込むべき ■反撃できる長射程ミサイルの導入・整備 ■国産の「スタンドオフ・ミサイル」を配備 ■日本の「ミサイル防衛」は機能しない ■中国に一笑に付された長射程ミサイル開発 ■戦争になったらすぐにタマが尽きる ■総花的で全体戦略に欠ける防衛政策 ■防衛産業の危機を象徴する三菱重工の凋落 ■「自衛隊一択」(内需)だけでは維持できない ■ミサイル供与を懇願したウクライナを拒否 ■伝統的な戦争観では平和はつくれない ────────────────────────────────── ■アメリカ全面依存の安全保障は通用しない 世界中で日本ほど、国家と国民の安全をどうやって守るかについて、国民も政治家も無関心で、まるで他人事のように考えている国はないだろう。世界がグローバルなワンワールドなら別だが、いまところ、世界には国家と国境があり、そのなかでしか安全保障は成立しない。 しかも、日本は島国とはいえ、周囲に友好国は台湾ぐらいしかない。ロシアも中国も北朝鮮も、海を隔てているとはいえ、日本の安全保障を脅かす存在だ。 とくに北朝鮮にいたっては、日本の方向に向けたミサイルの発射を繰り返している。さらに、中国の習近平政権が3期目に入り、台湾を武力併合する可能性が高まっている。 こんな現実、脅威があれば、おそらくどんな国家も防衛力強化を図る。軍事的なバランスを維持しなければ、安全保障は担保されないからだ。… … …(記事全文8,960文字)