━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.638 2022/11/08 岸田政権は「脱炭素」に無理解・無策。 なぜ日本は“環境後進国”に転落したのか? (上) ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20221108090000101611 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-101639.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ またも日本の先行きに対して絶望的なことを書かなければならない。今回は、気候変動対策、つまり「脱炭素」(カーボンニュートラル)に向けた取り組みだ。現在、エジプトで「COP27」(国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議)が開かれているが、かつて“環境先進国”と言われた日本は、見る影もない。岸田政権が無理解・無策で、まったくやる気がないと言っていいからだ。しかも、日本は、世界の国々のなかでもっとも「地球温暖化陰謀論」がはびこっている。 しかし、気候変動対策に乗り遅れると、経済衰退にさらに拍車がかかってしまう。 いったいなぜ、日本は“環境後進国”に転落したのか?今日、明日の2回に分けて検証記事を配信する。 [目次] ────────────────────────────── ■今回も成果は期待薄か?「COP27」始まる ■過去最大のバイデンの気候変動対策 ■安倍、菅、岸田の3政権はどうしてきたか? ■今回の会議で注目されることはなにか? ■日本のメディアの「脱炭素報道」の偏り ■「パリ協定」以後、ルールの厳格化で紛糾 ■やる気がまったく感じられない岸田政権 ────────────────────────────────── ■今回も成果は期待薄か?「COP27」始まる 11月6日から、エジプトのシャルム・エル・シェイクで「COP27」(国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議)が始まった。会議は18日まで続き、気候変動対策、つまり「脱炭素」(カーボンニュートラル)に向けての今後の世界の取り組みが討議され、ある程度の枠組みが決まる。 前回の英国グラスゴーでの「COP26」も紛糾したが、今回もまた紛糾は必至で、取り組みが進展しないことが危惧されている。 そのため、準備会合で国連のグテレス事務総長は、「ウクライナ戦争で気候変動対策は停滞している。化石燃料分野では後退さえ見られる」と、危機感をあらわにした。 また、マット・マクグラス環境編集委員は、すでに合意されている世界の気温上昇を1.5度以下に抑える「確実な道筋は見えていない」とする国連の報告書を発表した。この報告書では、「COP26」以降、各国政府が示した炭素削減計画は「ひどく不十分」と指摘している。 そんななか、注目されるのは、トランプ前大統領と違って気候変動対策に積極的なバイデン大統領が参加することだ。バイデン大統領は11日に演説し、アメリカの気候変動に対する取り組みを表明することになっている。 しかし、その内容が画期的かといえば、そうとは言えないという。 ■過去最大のバイデンの気候変動対策 ここまで、世界の気候変動対策を牽引してきたのは、ドイツや北欧諸国を中心とした欧州である。アメリカもオバマ政権時は積極的だったが、トランプ前大統領が登場して一気に後退した。なんと、トランプは「パリ協定」から離脱し、地球温暖化を「単なる天気だ」と言い放った。… … …(記事全文6,080文字)