━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.637 2022/11/01 「米中逆転」という未来絵図は幻想。 習近平3期目独裁で中国経済はどうなる? ウェブで読む:https://foomii.com/00065/20221101090000101372 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-101403.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 毎週、いろいろなことがあり、めまぐるしく情勢が変わるが、今後の日本にもっとも大きな影響を与えるのは、やはり、大国となった中国だろう。 先日の共産党大会では大方の予想通り、習近平総書記の3期目続投が決まり、独裁体制が強まった。はたして、このような専制国家が今後も経済発展できるのだろうか? そうして、アメリカを超える「世界覇権国」になれるのだろうか? それにつけても思い出されるのは、数年前まで盛んに言われていた「米中逆転」だ。 [目次] ────────────────────────────── ■共産党大会での衝撃シーンの意味 ■「脱中国」といっても現実的には難しい ■ただ数字を引き延ばしただけの未来予測 ■2020年で中国の高度成長は終わった ■人口減と高齢化が経済成長を止める ■実需に基づかない住宅バブルの崩壊 ■先端半導体での遅れは全産業に及ぶ ■アメリカが仕掛ける「半導体戦争」 ■官主導の補助金経済では成長は無理 ■汚職、不正が横行する「縁故資本主義」 ■アメリカ逆転はソ連や日本と同じ幻想 ────────────────────────────────── ■共産党大会での衝撃シーンの意味 なんといっても衝撃的だったのは、先日の第20回中国共産党大会。閉会の場で、習近平総書記(国家主席)の隣に座っていた胡錦涛・前党総書記が、係員に抱きかかえられ、強制的に退場させられたことだろう。この状況に、習近平も幹部も、ほぼ「知らんふり」を決め込んだのには、わが目を疑った。 まさに、中国の権力構造の恐ろしさを見せつけられたシーンだった。 いずれにしても、大方の予想通り、習近平の3期目続投が決まり、独裁体制が強まった。最高指導部を構成する政治局常務委員は習近平の側近で固められ、李克強首相ら意に沿わぬメンバーは外された。 これは今後、中国が経済、外交とも習近平が掲げる「中国の夢」=「中華民族の偉大なる復興」路線を突っ走ることを、内外に宣明したのも同然だ。世界の多くのメディアが言うように、「台湾併合」に向けての圧力は強まるに違いない。 共産党大会後の台湾メディアは、ほぼどこも、習近平独裁体制の強化を厳しく批判した。「習近平1人で国のすべてを支配するような体制では、“中華民族の偉大なる復興”は世界にとっては悪夢でしかない」とズバリ指摘し、台湾人に警鐘を鳴らした。… … …(記事全文7,406文字)