━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.618 2021/06/30 ロシアは必ず負けて衰退する! フィンランド冬戦争・継続戦争の教訓 (3) ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2022063009000096156 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-96232.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ウクライナ戦争の行く末を考えるにあたって、フィンランドとソ連が戦った「冬戦争」と「継続戦争」のうち、主に冬戦争をこれまで2回にわたって詳述してきた。最終回の今回は、継続戦争を詳述する。 その結果からわかるのは、ロシアの政治戦略と戦争の仕方が、まったく変わっていないということだ。どう見てもロシアの勝利はなく、今後、戦争が長引けば長引くほど、ロシアは衰退していくだろう。最終的にロシア連邦は崩壊し、民主化ロシアができるかもしれない。 世界にとっても日本にとっても、これがもっとも好ましいシナリオだ [目次] ────────────────────────────── ■冬戦争で国土の約10%を奪われた恨み ■独ソ戦開始が継続戦争の引き金になった ■周囲の状況からドイツの力を頼った ■失った領土を回復後は進軍をやめる ■分岐点となったスターリングラード攻防戦 ■ドイツの敗戦を見据えても動きがとれず ■ソ連との講和のために一種の賭けに出る ■講和がなければ東欧諸国と同じ運命に ■ソ連側にも停戦を急ぐ理由があった ■焦土作戦で街を破壊されたラップランド ■プーチンの民族一体という理屈は破綻している ■ソ連が崩壊したようにロシア連邦も崩壊 ■ロシアから離脱したカザフスタン ■理想は崩壊したロシアを民主化すること ────────────────────────────────── ■冬戦争で国土の約10%を奪われた恨み フィンランドは、1939年9月の第二次大戦勃発直前に、ドイツとソ連によって結ばれた独ソ不可侵条約の秘密協定によって、ソ連の権益圏と位置づけられ、同年11月30日にソ連から一方的に侵略された。 当初、スターリンは10日もすれば首都ヘルシンキは陥落し、フィンランドは降伏すると考えた。プーチンが、ウクライナ侵略で考えたことと、まったく同じである。 しかし、フィンランドは国を挙げて抵抗し、約3カ月間、ロシア軍の進撃を食い止めた。これが、「フィンランド冬戦争」(第一次ソ連フィンランド戦争)である。 国際社会、とくに米英仏はフィンランドを支援した。しかし、武器弾薬が尽きかけ、兵士の消耗も激しかったので、1940年2月末になると、独立を維持したまま講和するか、戦争継続するか、どちらかを選ばざるをえなくなった。その結果、講和が選ばれ、1940年3月12日、「モスクワ講和条約」が結ばれて、フィンランドは国土の約10%に相当するカメリア地峡地域をソ連に奪われることになった。… … …(記事全文8,591文字)