━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.615 2022/06/21 デジタル庁ができてもデジタル化できず 「デジタル後進国」はいつまで続く ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2022062108000095926 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-96008.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本当に情けないが、日本はいつまでたっても「デジタル後進国」から抜け出せない。デジタル庁ができてすでに10カ月が経つというのに、なにひとつ実現していない。いまだに、ベースになるシステム、なにをどうやるのかロードマップすらできていない。 そんなことに嫌気がさして、すでに数多くの優秀な人材が辞めてしまった。 デジタル庁の迷走ぶりは、日本のダメなところを全部集約していると言っていい。 [目次] ────────────────────────────── ■デジタル推進委員はタダ働きのボランティア ■「バカなんだろうね」とネットの声 ■登録してもマイナンバーカードが使えない ■トップも退任、民間出身職員も退職 ■内部アンケートが暴露する職場環境 ■「事業所データ整備事業」が突如停止に! ■デジタルにおいても「丸投げ」は変わらず ■IT人材の不足と低給料がネックに ■IT人材を養成しようとしない日本の組織 ■生体認証システムをゼロから構築せよ! ────────────────────────────────── ■デジタル推進委員はタダ働きのボランティア 最近、私がもっとも驚いたのは、デジタル庁が「デジタル田園都市国家構想」推進のために、「デジタル推進委員」の募集を始めたことだ。この募集は、5月下旬から、携帯ショップの店員などを対象に段階的に始まったが、その内容を聞いてわが耳を疑った。 募集人員は2万人。報酬なしのボランティア。その代わり、推進委員のバッチをくれるという。で、なにをするのかといえば、デジタルに疎い高齢者などにスマホやLINEの使い方を教えることだという。まさか! これでは、街でよく見かけるパソンコン教室などと同じではないか。 「デジタル田園都市国家構想」は、デジタル庁の事業の柱として、岸田首相の肝いりで構想された。デジタル化の促進によって、地方が抱える人口減少、過疎化、産業空洞化といった問題を解消しようとする試みだと、これまで説明されてきた。しかし、その第一歩がこれとは、日本政府は正気なのだろうか? 総理大臣を議長とし、牧島かれんデジタル大臣をはじめとして、各省庁の担当大臣、官僚のトップ、有識者が集まった「デジタル田園都市国家構想実現会議」が開かれている。しかし、そこでこんなことが決められているのかと思うと、底知れない脱力感に襲われる。 ■「バカなんだろうね」とネットの声… … …(記事全文6,515文字)