━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.601 2022/03/22 円安はどこまで進む? 現金を持っているだけで貧乏になる時代に! ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2022032209000092421 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-92547.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ とうとう円安に歯止めがなくなりつつある。ついこの前まで円安は歓迎され、円は「安全資産」と言われてきたが、それは真っ赤な嘘だった。このまま行けば、じきに1ドル=150円が見えてくるだろう。 そもそも通貨の価値は、国力に比例する。もはや、衰退するばかりの日本経済を象徴しているのが、円安である。スタグフレーションも進行しているいま、貯金などしてはいけない。円を現金でを持っているだけで貧乏になる。 [目次] ────────────────────────────── ■円安を放置し、あとは野となれ山となれ ■量的緩和は経済対策ではなかった ■つい先日まで、円安歓迎、円は安全資産 ■いまさら世界情勢のせいにしてお茶を濁す ■為替レートが変動する2つの理由 ■経済のファンダメンタルズで為替は決まる ■「弁当男子」が激増する時代になる ■現金・預金はどんどん目減りする ────────────────────────────────── ■円安を放置し、あとは野となれ山となれ 3月18日、日銀は政策決定会合を開き、量的緩和政策を続行することを決定した。不景気下のインフレ(スタグフレーション)が進み物価が上昇しているうえ、ウクライナ戦争が起こって世界経済が激変しているのにも関わらず、政策変更はしないというのだ。 おりから円安が進み、1ドル118円まで円が下落したというのに、会合後の記者会見で黒田東彦総裁は、「円安は全体として日本経済にプラス」という考えを表明した。強弁にも程があるとは、このことではないだろうか。つまり、日銀は円安を容認し、「円安放置」を宣言したのである。 しかし、いま進んでいる円安は、けっして日本経済にプラスにならない「悪い円安」である。円安が進めば、輸入物価の上昇を通じて原油や穀物など原材料コストの増加を招く。それは、めぐりめぐって企業収益を悪化させ、家計の負担を増大させる。日本経済をさらに衰退させる。 このことを日銀は知っている。政府も知っている。しかし、なにもしないというか、できないのだ。あとは野となれ山となれしか、日銀にも政府にも選択肢はないのである。 ■量的緩和は経済対策ではなかった インフレ環境の下では、物価はどんどん上がる。となれば、貨幣価値が下がるので、金利を上げるのが金融の常識だ。ところが、日本の場合、国債発行額が大きすぎて、これができない。金利を上げれば、利払い費が一気に膨張し、財政がもたなくなるからだ。 現在の円安は、アメリカが金融緩和を手仕舞いし、テーパリングに入ったことも大きな要因だ。アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は、3月15、16日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利の「フェデラル・ファンド(FF)金利」の現状の誘導目標0.00~0.25%を0.25ポイント引き上げ、0.25~0.50%とすることを決定した。これは、2020年3月から続けてきたゼロ金利政策の解除と、量的緩和の終了を意味する。… … …(記事全文5,632文字)