━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.600 2022/03/17 ウクライナ戦争(3) ロシアは孤立し崩壊するのか? 経済制裁から見えてくる「もう一つの世界」 ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2022031709000092164 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-92291.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本のメディアやコメンテーターは、「ロシアは国際社会から孤立し、いずれ崩壊する」「プーチンは失脚する」と言い続けているが、はたして本当にそうなるだろうか? 経済制裁により、たしかにロシアは窮地に陥っている。しかし、じつは経済制裁に参加していない国も多いのだ。そのことを見れば、ロシアは持ちこたえ続け、世界は欧米ブロックと中ロブロックに分断される「新冷戦」構造が進んでいくのではないだろうか? となると、日本の立ち位置は本当に危うい。 [目次] ────────────────────────────── ■ロシアはいずれ崩壊するというメディア ■経済制裁参加国と非参加国を比較する ■エネルギーと食糧から見た経済制裁 ■中国がロシア制裁に絶対に加わらない理由 ■「SWIFT排除」は影響を与えるのか? ■アメリカは中国のロシア離れに期待 ■このままでは漂流するだけの日本 ────────────────────────────────── ■ロシアはいずれ崩壊するというメディア バイデン大統領は、プーチン大統領をはっきりと「独裁者」(dictator)と呼び、ロシアに対する経済制裁を強化していくと宣言した。また、ロシアや中国、北朝鮮などを「専制主義陣営」と呼び、アメリカやEU諸国、日本などを「自由主義陣営」として、対決していく姿勢を鮮明にした。 欧米の主流メディアは、ロシアに対する経済制裁が始まってから、「ロシアはウクライナを制圧できたとしても、長期的には敗者になる」と、論説している。経済制裁は、ロシアが世界経済から切り離されることを意味し、世界は1990年以前の冷戦時代のように、西側と東側に分断されることになる。 すでに、ロシア国内では大混乱が始まっている。ルーブルは暴落し、銀行のATMには連日長蛇の列ができている。物価は上昇し、生活必需品の品不足も目立ち始めた。 このまま行けば、ロシアはもはや戦争どころではなくなり、そんななかでプーチン政権を打倒しようという動きが強まると考えられている。欧米の主流メディア同様、日本の主流メディアも、コメンテーターたちもみなも同じ見解を表明している。 しかし、そんなに簡単に皇帝プーチンのロシア帝国は崩壊するだろうか? ■経済制裁参加国と非参加国を比較する ここで、経済制裁がどうなっているのか、経済制裁参加国と、不参加国を分けて、比較してみたい。 次が、対ロシア経済制裁に加わっている主な国のリストと、GDP額、( )はGDP順位である(IMF2021年統計、単位は100万ドル)。… … …(記事全文5,493文字)