━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.597 2022/03/08 ウクライナ戦争の勝者は中国なのか? 「台湾有事」「核武装」----どうする日本 ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2022030809000091853 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-91992.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ウクライナ戦争が起こってから、日本では「次は台湾だ」という声が強まり、安全保障論議が活発化している。核武装論も現実化している。それもこれも、この戦争の“真の勝者”が中国と見られているからだ。 はたして、中国は本当に“真の勝者”なのか? そうだとしたら、日本はどうしたらいいのか? 「台湾有事」と「核武装」などに関して、どう考えたらいいのか? そのポイントを整理してみると、いま言われていることが、ほとんどが見当違いと言わざるを得ない。 [目次] ────────────────────────────── ■アメリカもNATOも後方支援だけで見殺し ■中国が苦慮しているというのは本当か? ■ロシアと中国の関係はいまや中国が上 ■バイデン政権の無関心とインドの裏切り ■中国の台湾侵攻に怯え始めた日本人 ■アメリカと台湾は同盟関係にない ■アメリカが台湾を見捨てる可能性 ■台湾とウクライナを同一視はできない ■「核シェアリング」はまったく無意味 ■核武装が「簡単で安上がり」というのは嘘 ■日米同盟の解体コストは年間23兆円 ■現実を直視すれば大国同士の戦争はない ────────────────────────────────── ■アメリカもNATOも後方支援だけで見殺し 「戦争に“勝者”はいない」というのが、近代の国家対国家の戦争史の教訓である。今回のウクライナ戦争もまた、そうなりつつある。 ロシアに侵略されたウクライナは多くのものを失ったが、侵略したロシアもまた多くのものを失った。さらに、プーチン大統領の暴走を許した NATO(北大西洋条約機構)諸国、アメリカも無力さを見せつけたことで、多くのものを失った。 なによりも、核による脅しに対してはアメリカの世界覇権が機能しないということがはっきりしてしまった。 もちろん、日本もエネルギーや食糧価格の高騰により、多大な被害を受けた。安全保障環境も大きく変化しようとしている。これは世界中同じだから、もはや、この戦争には“敗者”しかいないということになる。 つまり、ウクライナ戦争がどのような結末になろうと、世界からはいままでの秩序が失われ、自由も基本的人権も民主主義も常に脅かされる状況が続いていくことになるだろう。それは、国連を見れば明らかだ。まったく、機能していない。 国連もアメリカも、そしてNATOも、すべて口先だけ。ウクライナを支援はしているが、それは後方からだけで、事実上、見殺しである。かつて日本は、「NATOと同じ。口先だけでなにもしない」と揶揄されたことがあったが、このときのNATOは「No Action Talk Only」(ノーアクション、トークオンリー)の略とされた。今回、当のNATO自身がそうなってしまっている。… … …(記事全文9,434文字)