━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.596 2022/03/01 ウクライナ戦争で情報が氾濫! 注意したい「陰謀論」「フェイクニュース」の罠 ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2022030109000091575 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-91714.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ウクライナ戦争は本当に不思議な戦争だ。これまでの戦争と違って、情報が氾濫している。まず、アメリカ政府が、積極的に情報を開示し、「プーチンは侵攻を決断した」などとアナウンスした。さらに、プーチン大統領までも、陰謀論としか思えない理由で侵攻を正当化した。 また、ネットでは、あらゆる情報が飛び交い、ロシア軍の進軍状況まで手に取るようにわかった。もちろん、フェイクニュースも山ほど流された。 これだけ、情報が氾濫すると、その処理に戸惑い、どう判断していいのかわからなくなる。陰謀論も横行する。もはや、混乱の極みとしか言いようがない。 [目次] ────────────────────────────── ■アメリカの情報開示はなんのためか? ■これだけあるアメリカのメリット ■ウクライナは騙されロシアは罠にはまった ■プーチンもアメリカ陰謀論を展開 ■SNS「テレグラム」による情報拡散 ■「偽旗作戦」動画とロシア兵士の投稿 ■ファクトチェックが追いつかない ■拡散中の陰謀論と「Qアノン」の正体 ■「神」の代わりに生まれた陰謀論 ■超情報化社会だから陰謀論が流行る ■なぜか善意の人々が陰謀論を信じる ■「自分の頭で考えろ」は無理な注文 ■最大の弊害は人々の生きる意欲を奪うこと ────────────────────────────────── ■アメリカの情報開示はなんのためか? ロシアのウクライナ侵攻は、じつは既定の事実だったのだろうか? そうとしか思えない、アメリカ政府の情報発信が、開戦前1カ月間にわたって続いた。 ホワイトハウスは、「ロシア軍は侵攻の準備をしている」「プーチンはすでに侵攻を決断した」とまでアナウンスした。極め付けは、バイデン大統領の発言で、なんと北京五輪開催中の2月16日を指定して、「ロシアはこの日に侵攻する可能性がある」とまで言い切った。 実際のウクライナ侵攻は2月24日だったが、起こってみると、アメリカの情報発信が正しかったことがわかる。しかし、軍事、外交の常識として、掴んでいる情報を明かさないのがセオリーだ。それは手の内を明かすのと同じだから、相手に付け入る隙を与えてしまう。 そう思うと、バイデン大統領は、プーチン大統領に、「どうぞ侵攻してください」と言っているようなものだった。なぜなら、情報開示以前に、「軍は派遣しない」と宣言していたからだ。 これは、世界覇権国の大統領としてけっして言ってはいけないことだった。… … …(記事全文8,072文字)