━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.594 2021/02/15 台湾有事、米中戦争にリアリティはない アメリカも中国もそこまで愚かではない ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2022021509000090986 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-91136.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 北京冬季五輪が終わると、世界情勢は一気にきな臭くなりそうだ。欧州ではウクライナ、東アジアでは台湾の緊張がどんどん高まっている。そんななかで、日本は外交スタンスも定まらず、将来ビジョンもなく、国内言論は完全に現実離れしている。保守派は中国を敵視して「台湾を守る」と勇ましいが、本当にそんなことができると思っているのだろうか? それ以前に、中国は本当に台湾を武力併合するだろうか? その場合、アメリカは中国と本気で戦争する気があるだろうか? ということを、現実に即して考えてみるべきだろう。アメリカも中国も、直接対決するなど、そこまで愚かではない。「見せかけだけの危機」に騙されてはいけない。 [目次] ────────────────────────────── ■強硬だが中身が伴わない保守、右派言論 ■「敵基地攻撃能力」というカラ論議 ■台湾有事は起こるか?よりいつ起こるか ■習近平3期続投とアメリカの中間選挙 ■アメリカとの戦争覚悟で台湾に侵攻? ■「台湾防衛の義務がある」とバイデン大統領 ■なぜ、アメリカは中国を敵視するのか? ■覇権戦争では当時国は勝者にならない ■米軍トップが中国に攻撃しないと電話 ■軍人は「ゲーム理論」通りに行動する ■米中戦争でもっとも損をするのは日本 ■日本の最大の問題はスタグフレーション ■米中両国ともに地球温暖化対策に邁進中 ────────────────────────────────── ■強硬だが中身が伴わない保守、右派言論 北京冬季五輪が、今週で終わる。 問題続出の大会だったが、中国の競技施設の素晴らしさ、徹底した地球温暖化対策、先進的なハイテク技術を見せつけられると、改めて日本の後進性を意識せざるをえない。 もう、彼我の差はどうしようもない。中国崩壊論を唱えているような場合ではないと、つくづく思わされた。 それなのに、日本の保守言論、右派は、どうなっているのだろうか? このところ、ますますタカ派的傾向を強めている。中国はすぐにでも台湾に侵攻しかねない。日本も毅然として中国に対峙しなければならないと、強硬発言が目立つ。 しかし、どう見ても、アメリカが中国と対決姿勢を強めているから、その尻馬に乗っているとしか思えない。 先日、国会で決議された「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議案」は、そのいい例だろう。決議したのはいいが、法案作成過程で、「中国」の文言は消えてしまった。さらに、当初案の「人権侵害」が「人権状況」に書き換えられたうえ、「非難決議」から「非難」の2文字が削除された。これでは、なんのために決議したのかわからない。… … …(記事全文8,134文字)