━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.593 2021/02/08 メディアの「ニッポン」礼賛は危険 哀しいかな、それは日本衰退の裏返しにすぎにない ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2022020809000090735 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-90886.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 北京冬季五輪が始まり、テレビは連日「ニッポン、ニッポン」の大合唱。日本選手の動向に、一喜一憂する日々が続いている。 そこで思うのは、最近の日本のメディアは、愛国心の強要、自国礼賛が強すぎるのではないかということ。同じ日本人だから、日本選手を応援するのは自然なことだが、あまりにも「ニッポン、ニッポン」を連発されると、度がすぎないかと反発したくなる。 とくに、経済・外交がナショナリズムに傾くと、個人にとってはなにもいいことはない。メディアがナショナリズムを煽るのは危険なうえ、日本の進路を誤らせるだけだ。 [目次] ────────────────────────────── ■多すぎる「〇〇ジャパン」「〇〇ニッポン」 ■『Youは何しに日本へ?』に登場する外国人 ■メイドインジャパンは昔とは違っている ■アマゾンの「観光部族」を使ったヤラセ ■「愛国ポルノ」は日本凋落の裏返し ■自信をなくした国民が求めるナショナリズム ■いまの日本の保守、右派は歪んでいる ■夏目漱石も皮肉った「大和魂」の虚構 ■「経済ナショナリズム」が世界で横行中 ■国家はなぜ領土を拡張しようとするのか ■国民は近代がつくった想像的な産物 ────────────────────────────────── ■多すぎる「〇〇ジャパン」「〇〇ニッポン」 恥ずかしい話だが、今回の北京冬季五輪に参加する日本のスキーチーム(アルペン、ノルディク双方とも)のことを「SNOW JAPAN」(スノージャパン)と呼ぶのだということを初めて知った。前回の平昌五輪のときに、この愛称が決まったというから、私にメディアで仕事をする資格はないかもしれない。 それにしても、「ジャパン」が多すぎないだろうか? たしか大ブームになったのは、2011年にW杯で優勝した女子サッカー日本代表の「なでしこジャパン」だったと思う。それ以前に、男子サッカー日本代表は、たとえば「ジーコジャパン」などと呼ばれてきたが、「なでしこジャパン」の破壊力はすさまじかった。 以降、野球日本代表は「侍ジャパン」、競泳日本代表は「トビウオジャパン」、シンクロナイズドスイミングは「マーメイドジャパン」など、次々にジャパンがついた愛称で呼ばれるようになった。 「ジャパン」の代わりに「NIPPON」(ニッポン)も多用された。たとえば、バレーボールの女子は「火の鳥ニッポン」で、男子は「龍神ニッポン」、卓球はストレートに「卓球ニッポン」と呼ばれるようになった。 そう言えば、冬季五輪中なので、「日の丸飛行隊」というフレーズを思い出した。1972年の札幌冬季五輪のときは、たしかに「日の丸飛行隊」が金、銀、銅を独占した。… … …(記事全文6,742文字)