━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.577 2021/11/09 「新しい資本主義」は看板だけ、 そもそも日本は自由な資本主義国ですらない ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2021110909000087148 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-87333.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本経済はこれから「新しい資本主義」に生まれ変わるのだと、政府は言い出した。しかし、どこからどう見てもなにも新しくないうえ、そもそも言い出した首相自身がわかっていない。「新自由主義と決別」と言っているが、日本が新自由主義であったことなどない。 結局、このまま日本経済は沈んでいくだけ。しかも、この先はスタグフレーションになる可能性が高いうえ、財政支出のツケが増税となって国民生活を降りかかってくるだろう。 [目次] ────────────────────────────── ■首相が宣言し、内閣府に「実現会議」を設置 ■なぜいま「新しい資本主義」を目指すのか? ■「分配」するにはまず「成長」が必要 ■そもそも新自由主義はそんなに悪いのか? ■新自由主義は「市場原理主義」とも言える ■終身雇用、年功序列は社会主義システム ■「トリクルダウン」が起きなくて当たり前 ■コロナ収束後は「増税時代」が到来する ■今後、どんな増税が計画されているか? ■若者は当たり前の人生ができなくなった ■政府がすべきは仕事とチャンスをつくること ────────────────────────────────── ■首相が宣言し、内閣府に「実現会議」を設置 岸田文雄首相は、内閣府に「新しい資本主義実現会議」(議長・岸田首相)を設置し、今後、有識者と会議を重ねながら「新しい資本主義」を始めると宣言した。 現在、内閣府のHPには、次のようなメッセージが掲載され、「新しい資本主義」が紹介されている。 《「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現していくため、内閣に、新しい資本主義実現本部を設置しました。》 こうした動きを受けて、読売新聞は11月5日の紙面で、『賃上げ企業の税優遇を拡充、大学10兆円ファンド…「新しい資本主義」案 』という解説記事を掲載した。 それによると、「新しい資本主義」とは「格差の是正を図りつつ、長期的に持続可能な資本主義」で、政府は今月中に経済対策を集約し、2021年度補正予算と2022年度予算を事実上の「15か月予算」として一体的に編成するという。 そのポイントは、まとめると次のようになる。 ▽来年度税制改正で、賃上げに積極的な企業への控除率引き上げ ▽10兆円規模の大学ファンド運用を今年度中に開始 ▽デジタル、グリーン、人工知能などの研究開発を複数年度にわたり支援… … …(記事全文7,183文字)