━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.571 2021/09/28 誰が新首相でも日本の将来は変わらない 人口減少社会の恐ろしさ ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2021092809000085404 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-85605.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 明日、いよいよ自民党の新総裁が決まり、新首相が誕生する。しかし、新首相が誰になろうと、政策を見る限り日本経済の復活はありえない。また、その後の衆議院選で野党が勝って首相が代わったとしても同じだ。 誰もが日本経済衰退の最大の原因を無視して、大胆な財政出動を続け、財政赤字を限りなく拡大させていくだけだからだ。もう、この日本はかつてのような輝きは取り戻せない。それを前提に、私たちは生きていくほかないと、近頃、私は心底思うようになった。 日本経済衰退の最大の原因は、人口減少が続くことにある。 [目次] ────────────────────────────── ■PB凍結まで言及した異常な財政出動 ■財政危機を無視したバラマキ政策 ■バラマキで票を買うポピュリズム ■財政出動は必要だがバラマキは効果なし ■「積極財政」を行っても貯蓄が増えるだけ ■総人口、生産年齢人口の減少がデフレの真因 ■企業レポートが伝える希望なき未来 ■移民を受け入れても日本には時間がない ────────────────────────────────── ■PB凍結まで言及した異常な財政出動 今日まで、自民党総裁選候補者たちの経済政策を聞いて、とことんがっかりしてきた。4人が4人とも、財政出動によって日本経済を復活させられると考えているからだ。 9月23日には、経済財政運営がテーマのオンライン討論会が行われたが、高市早苗氏が「なんとしても下支えする時期だ。相当、大胆な財政出動を考えている」と言うと、ほかの3人もほぼ同じ考えを披露した。 河野太郎氏はやや違うのでは思ったが、それでも「(需要と供給の差を示す)GDPギャップを埋める財政出動はやらなければ」と追加経済対策に意欲を示したのだ。 問題なのは、4人とも政策遂行のための財源についてまったくふれなかったことだ。財政出動というのは、簡単に言えばおカネを使うということ。それもこれまで以上に使うということだが、この借金大国のどこにそんなおカネがあるのだろうか。すでに、アメリカや英国では、コロナ禍で行った大幅な財政出動の穴埋めのための増税論議が始まっている。しかし、日本では誰もこのことを言い出さない。 驚くのは、高市氏が本気で「基礎的財政収支」(プライマリーバランス、PB)の一時凍結を言い出したことだ。これに、野田聖子氏も同調し、少子化対策への投資を理由に「PBを気にせずやらないと手遅れになる」と述べた。 ■財政危機を無視したバラマキ政策 財政出動、PB凍結に関しては、野党も同じだ。というか、もっとすごい財政出動を提唱している。… … …(記事全文6,684文字)