━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.568 2021/09/08 総選挙の争点が「コロナ対策」という愚。 日本経済の今後は「脱炭素政策」にかかっている (下) ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2021090809000084587 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-84797.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 昨日の配信で指摘したように、10月末か11月初めに誕生する日本の新首相は、就任するやいなや「脱炭素政策」(カーボンニュートラル)をどうするか決めなければならない。これは、10年、20年先を見据えた政策なので、今後の日本社会、日本経済に決定的に影響する。その意味で、目前の「コロナ対策」よりはるかに重要だ。 いまや、再生可能エネルギーへの転換にしても、電気自動車への転換(EVシフト)にしても、日本は世界から大幅に遅れている。はたして、打開策はあるのだろうか? そして、それ以前に、カーボンニュートラルに突き進むことは正しいことなのだろうか? 今回は、その辺を検証してみたい。 [目次] ────────────────────────────── ■菅首相「2030年46%削減」の衝撃 ■来るべき「COP26」で温暖化対策が問われる ■「COP26」に向けての各国の取り組み ■脱炭素にもかかわらずLNGが人気 ■中国はLNGを買い占め、石炭火力発電も新設 ■欧州が法制化した「カーボンニュートラル」 ■ホンダはなぜリストラを始めたのか? ■地球温暖化の犯人は本当に二酸化炭素なのか? ────────────────────────────────── ■菅首相「2030年46%削減」の衝撃 昨日の配信で述べたように、日本の「脱炭素政策」(カーボンニュートラル)は、いま、袋小路に入り込んでしまっている。 菅義偉首相は、昨年10月の所信表明演説で、2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロにする脱炭素社会の実現を宣言し、日本のエネルギー政策は再生可能エネルギーへの転換へと大きく舵を切った。ここまでは、世界の流れから見て仕方ない。 しかし、今年の4月の気候変動サミットで、菅首相はほとんど独断で、温室効果ガスを「2030年に2013年度比で46%削減する」と宣言してしまったのである。 これには、産業界もエネルギー政策を司る経済産業省も、与党・自民党内も、まさかの声が上がるほど驚いた。なぜなら、それまでの日本の目標は「26%削減」に過ぎなかったからだ。 結論から言ってしまうと、46%削減のハードルは非常に高い。馬鹿正直に実現しようとすれば、日本は経済的に大きなダメージを受けるだろう。 46%削減の実現のため、経済産業省は新「エネルギー基本計画」(7月公表)で、再生可能エネルギーへの転換を最優先の課題とせざるをえなくなった。そうして、再生エネルギー比率を2030年に「36~38%程度」と現行計画の「22~24%」から大幅に引き上げる目標を設定した。 ■来るべき「COP26」で温暖化対策が問われる… … …(記事全文6,696文字)