━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.562 2021/08/03 強まる対中包囲網 「中国切り離し」(デカップリング)は可能なのか? ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2021080309000083196 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-83412.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本が東京五輪とコロナの感染拡大に気を取られているなか、世界ではバイデン政権が主導する「中国包囲網」が日毎に強化されている。世界のサプライチェーンから、中国を切り離す動き(デカップリング)も進んでいる。 しかし、一体化したグローバル経済から中国を排除することが、本当に可能なのか? なにより、日本は今後どうすればいいのか? いまこそ真剣に考えるべきだろう。 [目次] ────────────────────────────── ■国防長官の東南アジア歴訪の意味 ■「クアッド」によって中国に対抗する ■4品目切り離しのバイデンの大統領令 ■なぜ、デカップリングが進まないのか? ■菅政権の驚くべき国際感覚のなさ ■TDK、村田製作所の中国依存度は5割以上 ■いまや「中国リスク」が株価に反映する ■日本より対中依存が高いドイツ企業 ■中国の圧力に屈しないオーストラリア ■「グローバルトレンド」による2040年の世界 ────────────────────────────────── ■国防長官の東南アジア歴訪の意味 日本では、東京五輪の大報道にかき消され、アメリカのロイド・オースティン国防長官が7月23日からシンガポール、ベトナム、フィリピンの東南アジア3カ国を歴訪したことが、ほとんど取り上げられなかった。 しかし、米中の「新冷戦=覇権戦争」は、今後の日本を大きく左右する大問題である。日本には、アメリカ側に立って中国と対決していく以外の選択肢はない。しかし、菅政権も経済界も、まだはっきりとした意思表示をしていない。 今回のオースティン歴訪は、ASEAN諸国に対して中国包囲網の強化を要請することにあった。アメリカとしては、もうこれ以上、中国の拡張を許すことはできない。 そのため、シンガポールではウン国防相と軍事的連携の強化に合意し、シンガポールが導入する最新鋭ステルス戦闘機「F35B」の訓練をアメリカ国内で行うことを確認しあった。ベトナムでは、グエン・スアン・フック国家主席と会談し、越米間の包括的なパートナーシップ促進を確認した。そして、フィリピンでは、ドゥテルテ大統領と会談し、フィリンピンが決めていた「訪問米軍に関する地位協定」(VFA)の破棄を撤回させた。 こうしてオースティン歴訪は成功裡に終わったが、その後、ホワイトハウスは驚くべき発表を行った。8月中に、カーマラ・ハリス副大統領がシンガポールとベトナムを訪問するというのだ。 アメリカの副大統領がベトナムを訪問するのは、今回が初めて。アメリカの対中包囲網形成は、本気も本気と見て間違いない。 ■「クアッド」によって中国に対抗する… … …(記事全文7,558文字)